2019/11/13 (水) 10:01
今年は四季で最も情緒があると思える『秋』がなく、いきなり冬。紅葉を感じる間もなくダウンコートを着ている人が多くなってきた。まだ11月の中旬だと言うのに、ギャンブル好きの人間たちは競馬の有馬記念、ボートレースのグランプリ。そして、競輪のKEIRINグランプリと、年末に行われるビッグレースの話題に花を咲かせている。競馬もボートレースも気になることは確かであるが、やはり、何と言っても『KEIRINグランプリ2019』であろう。話題を集めるのはKEIRINグランプリだけではない。12月28日には『ガールズグランプリ2019』が行われる。今年の舞台は立川競輪場だ。
ガールズグランプリの出場権を巡る賞金争いが佳境に入ってきている。19日から小倉競輪場で競輪祭と同時開催されるガールズグランプリトライアル(A・B)で全てが決まる。昨年は賞金ランク外だった梅川風子(東京112期)がトライアルで優勝し、グランプリの出場権を獲得した。今年、ここまでの獲得賞金で、ほぼ出場が決まっているのは児玉碧衣(福岡108期)、石井寛子(東京104期)、石井貴子(千葉106期)、佐藤水菜(神奈川114期)。そして、梅川までの5選手だろう。6位の小林莉子(東京102期)、7位の奥井迪(東京106期) 、8位の尾崎睦(神奈川108期)はトライアル次第になってくる。
この中で面白いのは尾崎だろう。実力はあるのに、あまり人気がない。今年はファン投票で出場者が決まるガールズドリームレースとアルテミス賞レースにも出場できなかったし、グランプリを争う他のガールズ選手と比較すると、ビッグレースの出場回数が少ない。今年は5月の松戸ガールズケイリンコレクション、7月の別府ガールズケイリンフェスティバルの2回だけだ。それでも、獲得賞金ランキング8位に位置しているのだから、安定感は物凄いということだ。仮に尾崎がもっとビッグレースに出場していれば、トップ3には入っていたのではないかと思われる。確か、昨年も尾崎はギリギリでグランプリ出場を決めた。ビーチバレーのトップ選手から転向した尾崎はよく言えばプロ意識に徹している。知り合いの記者から聞いた話しだが、「彼女は写真を撮る時も媚びたりしない」そうだ。それがファンにとっては可愛くないのかも知れないが、それでは、彼女が可哀想だろう。だからこそ、ついつい筆者は尾崎を応援したくなる。
また、昨年7月にデビューした佐藤は11月のトライアルにどうして出場できたのか物議を醸した。結果的に優勝はできなかったが(児玉碧衣に敗れて準優勝)、あの経験があったからこそ今年の躍進があるのだと思っている。
トライアルはA(トパーズ)・B(アメジスト)という2つのグループに別れて争われるが、何といっても注目を集めるのはトパーズに出場する小林優香(福岡106期)だろう。トパーズの小林、優勝するしかない高木真備(東京106期)、鈴木美教(静岡112期)、長澤彩(愛知106期)、柳原真緒(福井114期)らにとっては小林と同組なのは辛いところであろう。
尾崎と佐藤はアメジストに出場する。優勝候補はダントツで児玉だが、一発に懸ける山原さくら(高知104期)に奥井。そして、筆者一押しの吉岡詩織(広島116期)が名を連ねている。吉岡は116期からただ1人の参加、デビューから既に2度、優勝しており、今では堂々としたもの。物怖じしない性格は、昨年の梅川を彷彿(ほうふつ)とさせる。
《2019年11月10日時点での賞金ランキング上位》
《2019年11月11日時点での賞金ランキング上位》
正直なところ、ガールズグランプリの賞金争いがここまで白熱し、面白くなるとは予想していなかった。これは昨年から始まったこのトライアルが大きく影響している。JKAもなかなかやるものだ。こういう試みをドンドン出してくれば、売り上げも上がっていくことだろう。賞金ランク外でもチャンスがあることはガールズ選手たちのモチベーションにもつながる。だからこそ普段はあまり見られない激しい攻防が繰り広げられるのだ。男子のKEIRINグランプリ出場争いも熾烈(しれつ)を極めているが、まずはガールズの熱い戦いに注目したい。
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター