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平塚、逆転の発想

2019/08/10 (土) 13:08

平塚、逆転の発想

各競輪場で7車立てレースが花盛りだ。9車立てに慣れている昔からのファンとしては、どうしても違和感を覚えてしまう。であるが、今年の6月から12R制で全て7車立てという開催も始まっている。売り上げが伸び悩み、ライバルとなる他の公営競技に水をあけられている今、色々なことにチャレンジし、試行錯誤を繰り返すのは間違いではないだろう。

8月2日から平塚競輪場でも初めての試みが実施された。従来は前半に7車立てのチャレンジレース、後半に9車立てのA級1・2班戦が組まれているが、それをひっくり返して前半に1・2班戦、後半にチャレンジレースを組んだのだ。比較的、的中しやすいチャレンジレースで前半に資金を増やしてから、後半のA級1・2班戦へと繋げていく。これまではそういった考えの下でレースが行われていた。競輪場で1日遊ぶことを考えると、前半で資金がなくなってしまえば、後半は戦えずに帰宅を余儀なくされるということにもなりかねないからだ。
これを逆に組むと悪い方向にいってしまうのではないかと心配していた。施行者としては前半から熱くなって、そのまま後半へという考え方なのだろう。

仕事の合間を縫って、開催2日目に平塚競輪場へ赴いた。1Rから名前の知っている選手が多いことは嬉しい反面、9車立てのA級1・2班戦は激戦の連続となる。当たる、当たらないは別にして、非常に興奮できた。負けた分を取り返そうという人間の心理がこれほどまでに強いものなのかと、感じてしまうほどだった。もちろん、後半に向けて資金がある方が気は楽であるが、負けた分を取り返すことを考えると、当たりやすいチャレンジは良いのかも知れない。ただし、それも前半で負けた金額による。トントン、もしくは少しマイナスくらいならば堅い配当で取り返せるが、そうではない人間にとっては物足りなさを感じるかも知れない。

そもそも7車立ては、9車立てに比べて当たりやすいことを前面に出して展開されてきた。これは6艇で争われるボートレースを意識してのことだろう。たとえ配当が少なくても、的中すれば次のレースが買える。お金が回るということが何よりも第一なのだ。
今回の平塚競輪場は金曜日から日曜日という最高の日程で行われた。初日の売り上げは1億407万2,400円。私が車券を買った2日目は1億951万6,100円。最終日は1億4,001万1,900円で、節合計は3億5,336万400円。この数字はF2開催にしてみれば、まずまずの売り上げだと思う。入場者数も最終日は4,000人弱だったので、今のご時世なら施行者としても御の字だったに違いない。最初は心配していたが、自らも現地で経験したうえで、この試みは悪くないのではないかと感じている。

このような試みをいくつも実施して、その中から取捨選択のプロセスを経てから採用する。良い、悪いは別にして、動かなければ何も始まらないのである。笑われようと、他から何を言われようと、動かなければこの業界に未来はない。平塚競輪場は首都圏で初めてナイター開催に舵を切り、昼間の最終レースを16時45分に実施するなど、少なからずこの業界を引っ張ってきた優良競輪場と言える。やる気のある競輪場は努力を怠っていない。やらずして負けるのか?それとも動いて勝算への活路を見出すのか?突拍子もないものでも構わない、今後も多くの競輪場で挑戦するべきではなかろうか。
最後に、今回の逆転開催は筆者なりには楽しめたものであった。

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岩井範一

Perfecta Naviの競輪ライター

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