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2020年東京五輪まで1年半

2019/03/07 (木) 14:11

2020年東京五輪まで1年半

2020年東京五輪まで1年半を切った。果たして、日本はいくつのメダルを獲れるのだろうか?柔道、レスリング、水泳、野球などなど……五輪を待ちきれない人間たちは気が早いもので、既にそんな話題を酒の肴にして楽しんでいる。かくいう筆者もその1人ではあるのだが(笑)。
しかし、残念なことに、自転車競技については誰も関心を抱いていない現実がある。酒席でも残念ながら、自転車競技の話題は出たことがない。筆者が話題を振っても、まず自転車競技の選手を知らない。知っている名前を聞いたら“中野浩一”と、返ってきた。いつの時代のことを言っているのだろうと、情けなくなってしまったものだ。それだけ国民は自転車競技に無関心ということなのだろう。

5日、新田祐大(福島90期)が2019年自転車トラック種目世界選手権(ポーランド・プルシュフク)の男子ケイリンで銀メダル獲得、その大看板を背負って帰国した。筆者は仕事の関係で、羽田には足を運べなかったのだが、知り合いのライターによれば「まず新田がメダルを持ってこなかった。出迎えの人数はソコソコいたけど、ほとんどが関係者だったと思う。一般のファンは少なかったように思える」とのこと。
一般ファンがほとんどいなかったことが推測できるのは、新田がゲートから出てきた際に歓声が上がらなかったからだ。これがフィギュアスケート、レスリング、野球だったら、間違いなく歓声が上がったであろう。花束も誰が渡したのか分からなかったそうだ。少なくとも一般のファンでなかったと。

メダルについては預けた荷物の中にあり、それが記者会見には間に合わなかったらしい。これは新田が悪いのではなく、JCFの職員なりがあらかじめ機内に持ち込むべきだということをレクチャーすべきだったのではないか。NHKを筆頭に、民放のテレビ局の取材陣も多く集まったところで、メダルがない帰国会見とはお粗末でしかない。ただでさえ、マイナー競技なのだから、ここぞとばかりに世界2位のメダルをアピールできる絶好の機会。だが、テレビカメラを前にした新田の手元に銀メダルはなく、花束だけであったのだ。根本的な広報態勢ができていないことを露呈。千載一遇ではないが、関係者は大きなミスを犯したと、猛省すべきであろう。

新田について言えば、今回のメダル獲得は遅すぎた感がある。競輪で見せる彼の爆発的なスピードとパワーは車券を買っていなくても、一見の価値はあると、断言できる。それなのに競技では、なかなか結果を残せないでいた。2016年のリオデジャネイロ五輪は代表落ちという辛酸を舐めさせられた。その悔しさをバネに、自らが代表となりチーム(ドリームシーカー)を結成。それまではワールドカップなどの国際大会はナショナルチームのみでの参加だったが、商業スポンサーが支えるトレードチームという枠でより多くの選手が国際大会を経験、レベルアップを目指すという理念を掲げ、スポンサー集めに東奔西走したりなどにも労力を費やした。こうした新田の地道な努力がやっと実を結んだ、そう思うと心から祝福したいと思うのである。

金メダルが期待された脇本雄太(福井90期)はセミファイナルでの不利がたたり、結局は8位の結果に終わった。ワールドカップ2勝でも、やはり、世界選手権は全てにおいて違うものなのだと、痛感したことであろう。欧州の選手はワールドカップで勝っても、簡単にはスポンサーがつかない。しかしながら、世界選手権で1位となれば話しは別である。
「彼らは必死だよ。ロードと比べて、トラックはあまり人気がない。世界選手権や五輪は彼らにとって生きる術なんだ」
世界選手権で1位になれば、スポンサーがつく。ワールドカップで戦っている同じ相手でもステージが違えば、やる気も違うのは当たり前だろう。

新田、脇本は世界で互角以上に戦えることが証明できた今シーズン。苦言を呈するならば、関係者の成長をもう少し促したい。新田の会見のような失敗は2度と繰り返してはならない。

 

Photo by Takenori WAKO

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岩井範一

Perfecta Naviの競輪ライター

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