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外国人コーチ

2018/03/12 (月) 17:38

外国人コーチ

オランダ・アペルドールンで開催されていた自転車の世界選手権。ケイリンで河端朋之(岡山95期)が銅メダルを獲得した。これは1993年の吉岡稔真(福岡65期・引退)以来、実に25年ぶりの快挙となった。昨年12月には脇本雄太(福井94期)がW杯第4戦のチリ・サンティアゴ大会で金メダルを獲得。2020年東京五輪に向けて、期待は高まるばかりだ。
河端、脇本がここまで躍進したのはなぜか?一つの理由として挙げられるのが外国人コーチの存在であろう。2016年10月、ナショナルチームのヘッドコーチとしてフランス人のブノア・ベトゥ氏、アシスタントコーチとしてオーストラリア人のジェイソン・ニブレット氏の招聘(しょうへい)を発表した。リオデジャネイロ五輪では中国代表のヘッドコーチを務め、同国にメダルをもたらしたベトゥ氏は五輪、世界選手権を指揮して獲得したメダルは数十個にも及ぶ。さしずめ"メダル請負人"といったところか。そして昨年、中長距離のヘッドコーチにオーストラリア人のイアン・メルビン氏が就任。女子の梶原悠未(筑波大)をはじめとする中長距離チームもW杯で結果を残してきた。
振り返ってみると、2004年アテネ五輪でチームスプリント銀メダル獲得時のヘッドコーチはゲーリー・ウエスト氏。2008年の北京五輪で永井清史(岐阜88期)がケイリンで銅メダルを獲得した際はフランス人のフレデレック・マニェだった。こうみると外国人がコーチを務めた時には必ずといっていいほど、結果を残しているのだ。1984年ロサンゼルス五輪の坂本勉(青森57期・引退)、1996年アトランタ五輪の十文字貴信(茨城75期)という例外もあるのだが。

ベトゥ氏が就任会見で「日本は時代遅れ」と、語った。トレーニング方法から何から何まで時代遅れだったと、ベトゥ氏は感じたのだろう。
個人的な意見になるが、外国人がいいのは、利害関係が一切ないからであろう。それこそ五輪にプロが参加できなかった時代は「日大 VS 中大」というような学閥争いなんかもあったと聞く。力はあるのに日大在籍、日大卒ではないと五輪に参加できないなどと。しかし、外国人指導者だとJKA、JCF、選手会との利害関係が一切ないから、外部からの思惑に関係なく、ナショナルチームを動かせる。権力闘争なんかに巻き込まれず、純粋にメダルを獲るためのトレーニングに集中できるように思える。
決して日本人の指導者が悪いという訳ではない。ただ、日本人だとどうしても派閥争い、しがらみが見え隠れしてしまう。現に以前、元代表監督とJCFとで契約に関して裁判沙汰にもなっていた。

ソチ冬季五輪でメダルなしに終わったスピードスケートはライバル国のオランダからヨハン・デビッド氏を招聘した。恥も外聞もない、そんなことを言っていられる状況ではなかったからだ。イケメンコーチとしても話題になった女子カーリングのコーチはカナダ人のジェームズ・リンド氏を。もちろん、選手の努力があってのメダルだが、平昌五冬季輪においてスピードスケートはご存知の通りの躍進を見せ、カーリングも初のメダルを獲得した。両氏の手腕によるところが大きかったことは紛れもない事実である。
スポーツにおける外国人コーチ(監督)はプロ野球、サッカー、バスケットボールなど、様々な種目で多数いる。全て成功しているか?そう問われると、答えはノーだが、成功例は多い。
「根性・精神論」が日本の考え方であった。それが外国人はスポーツ以外でもそうだが、非常に合理的なのだ。
日本人の指導者でも結果を残している競技はたくさんある。ただ、自転車競技に限れば、時代のニーズには外国人指導者が現状ではベター。前述したように利害関係を考えないで済む外国人が合っているのだろう。
いずれにしても河端の世界選手権銀メダルは東京五輪に向けて、夢の膨らむものであった。

Text/Norikazu Iwai

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岩井範一

Perfecta Naviの競輪ライター

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