2018/02/22 (木) 10:59
今月15日、平成29年の表彰式典が都内のホテルで開かれた。
男子の最優秀選手賞は新田祐大(福島90期)で、G1での2度の優勝に加えて、グランプリは準V。新田自身、2年ぶり2度目のMVP受賞となったが、これがまた面白い。面白いというのは新田を否定するものではなく、一つのエピソードが面白いのだ。2年前もグランプリで浅井康太(三重90期)に敗れて賞金王を逃してしまったが、MVPには新田が選ばれた。今年もまた同じで、プロとして最高の栄誉というべき賞金王は浅井に譲ってのMVP受賞。
「賞金王とMVPのダブル獲得じゃなければ」という新田の心の叫びが聞こえてきそうだ。
さて、競輪業界ではどのように表彰選手を決めているのだろうか?知り合いの記者に聞いたところ"競輪記者による投票"とのこと。ところが、この投票は複数選手名を記入するものだという。野球などでは1位は◯◯選手、2位△△選手……という具合に分けて記入していくのだが、競輪業界はどうやら違うらしい。そして、その中で最も票を得た選手がMVPに選ばれるかと思いきや、これまた選考委員会なるものが存在して、そこで話し合われて最終的な決定となる。これでは投票した意味がないのではないかと思ってしまう。今回、選ばれた男子選手は妥当だと考える。しかし、ガールズはどうか?
ガールズのMVPはガールズグランプリを制した石井寛子(東京104期)が選ばれた。しかし、石井寛は昨年、ガールズグランプリ以外では目立った成績を残せていない。目立ったというのは語弊があるかも知れないが、ビッグレースと言われるコレクションやフェスティバルは勝っていない。オールスター(いわき平)ファン投票の8〜14位のアルテミス賞レース、及び普段の開催でも年間10回超の優勝もしているが、正直なところ競走得点や勝率などは特筆すべきものではない。
ガールズの場合も複数名選手の連記で投票が行われるそうだ。個人的な見解になってしまうが、平成29年は該当者なしでも良かったのではないだろうか。無理矢理にMVPを作るというのは時として滑稽(こっけい)さをも覚える。
また、投票する記者もいかがなものか。他の分野ならば、取材歴5年以上がスタンダードだ。競輪はどのようなシステムになっているか?知り合いの記者に聞きそびれてしまったので、詳細は知り得ない。ただ、間違っても取材歴1〜2年程度の右も左も分からない新人記者に、投票権を与えていないことを信じたい。
JRAの場合、投票した記者がどの馬に投票したか分かるように公表しているという。そう、誰もが驚く馬に投票した記者はすぐに分かるシステムになっているのだ。
感覚や受ける印象は千差万別、十人十色であって正解は決まっていない。だが、例えば、例えばではあるが、昨季のプロ野球で「MVPはジャイアンツの小林誠司捕手」と、書いた記者がいたとしたら見識を疑ってしまう。競馬はそれを防ぐ意味でも公表していると思われる。
競輪業界も表彰選手を発表する際、どのような基準で、誰が投票したのか、投票した記者名を公開したらどうか。そして、各選手の得票数も同様だ。"密室で決まった表彰選手"なんて影口を叩かれないためにもオープンにすべきであろう。今回はそれが書きたかっただけ、石井寛ファンに全く悪気はないことをご理解いただきたい。
Text/Norikazu Iwai
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター