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外部へのアピール

2018/01/11 (木) 09:34

外部へのアピール

浅井康太(三重90期)の優勝で幕を閉じたKEIRINグランプリ2017、売り上げは目標に届かなかった。2016年の立川を上回ったことが強調されていたが、前年比はあまり関係ないように思える。あくまでも自場のことであって、それが目標に到達できていないなら、前年を上回っても口に出して言えることではない。
さらに気になったのは昨年の競輪祭で……売り上げはG1史上ワースト3(ワースト2がその前年の競輪祭)だった。いくつかのスポーツ新聞は「前年を上回る売り上げ」と、書いていたと記憶している。だが、ワースト2がワースト3に一つ上がっただけであって到底、自慢できる話しではない。それでも新聞を読んだ人間は「競輪祭は売れたな」と、思ってしまう訳である。これはハッキリ言ってしまえば詐欺まがいだろう。前年を上回ったが、ひどい売り上げだったのは紛れもない事実なのに。

年頭から厳しいかも知れないが、各競輪場は前年の開催、G1、G2、G3の売り上げに対して、総括を出しているのか?そう疑いたくなってしまう。以前にも書いたが「競馬」や「年金」は言い訳に過ぎない。なぜ売れなかったのか?シッカリした総括がなされていない気がする。もし、総括されていて、2年続けて目標に達していないのならば……それはその総括自体が間違っていると言わざるを得ない。今後は何よりもシッカリした総括をすべきであろう。
世間は景気が良くなった(バブルの再来か?)など言われているが、あくまでも数字上のこと。実感している人間はごく一部だけなのだからなおさらである。

競輪の売り上げは伸びているという。でも、この伸びはミッドナイト競輪に頼るところが大きい。それならば、極論では全場でミッドナイト競輪を実施すれば(住宅地に立地されているなどあるが)いいだけであろう。そう、大事なのはミッドナイト競輪を除いた売り上げなのだ。関係団体は年の初めに必ずと言っていいほど、格好いい文言を並べる。しかし、それが実際に達成できたのか?筆者の知るところ、ここ何年はなかったように思える。

東京五輪を2年後に控えた今年、競輪界は正念場を迎えたと言っても過言ではなかろう。競輪を知らない人間でも中野浩一氏(福岡35期・引退)なら知っているというような取り組みが求められる。昨年末には脇本雄太(福井94期)がワールドカップで金メダルを獲得した。競輪のトップライダーでありながら、五輪に通じるワールドカップで優勝の偉業。もっと脇本を前面に押し出すべきであろう。それと同時にオムニアム(複数種目で争われる)で日本人女子として初の金メダル、それも2戦続けて獲った梶原悠未(筑波大学)ももっとメディアに登場させるべきだ。
大きなことよりも、小さなものから手をつけていくべき。渡邉一成(福島88期)が故郷の福島県双葉町に多大な寄付をしたことはあまり知られていない。新田祐大(福島90期)が福島県内の福祉施設を訪れたとかも同様だ。各競輪場が地域に密着して、どんな活動をしているのか?は一般の人には全く知られていない。
堂々と、競輪、及び競輪選手の活躍や貢献度をパブリッシングできる事例は上記のように多い。内部だけで満足するのではなく、外部へアピールしてこそではないだろうか?それが競輪の売り上げにも繋がると思うのだが。

Text/Norikazu Iwai

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岩井範一

Perfecta Naviの競輪ライター

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