2017/11/29 (水) 20:00
11月26日、今年最後の小倉G1競輪祭が終わり、KEIRINグランプリ2017(12月30日・平塚競輪場)の出場メンバーが決定した。
競輪祭の優勝は圧倒的な強さを見せた新田祐大(福島90期)。岸和田G1高松宮記念杯に続き、今年2度目のG1タイトル獲得となった。この結果、賞金ランキング9位の桑原大志(山口80期)が、41歳にして初のグランプリ出場を決めた。桑原は5月のダービーで準優勝、この賞金を最後まで守り切った形だ。
8位の諸橋愛(新潟79期)も9月に武雄G2共同通信社杯を勝ったことで、グランプリ出場圏内に入ったといえる。
逆に……3月の高松G2ウィナーズカップを制し、当時はグランプリ出場がほぼ確実視されていた郡司浩平(神奈川99期)は補欠に。
残念だったのは村上義弘(京都73期)で、今年は京王閣G1ダービー、いわき平G1オールスターをケガのために欠場。今開催に懸けていたが、準決勝で敗退して、8年連続のグランプリ出場はならなかった。
現地で取材した知人に聞いたところ、二次予選でドラマがあったらしい。賞金ランク8位の諸橋と9位の桑原が同乗のレースで、4選手が落車するアクシデント。諸橋が直線で中を割って1着、桑原が3着で共に準決勝へ進んだのだが、この時の諸橋のコメントが実に洒落ていたのである。
「桑原君を4着にしようと考えながら走っていた。あまり早く踏めば、彼まで3着に入る。そりゃ、当面のライバルですからね」
過去にもボーダーライン上の選手が直接対決することはあったが、ここまで素直にコメントしたことは記憶にない。競走で見せる姿勢と変わることなく諸橋は一本気な男だなと、感じた。
さて、どうやって1億円の賞金を掴み獲るか。12月20日の前夜祭で各選手の戦いぶりは判明するだろうが、既にほぼ固まっているともいえる。
関東ラインは平原康多(埼玉87期)・武田豊樹(茨城88期)・諸橋、中部は深谷知広(愛知96期)・浅井康太(三重90期)、三谷竜生(奈良101期)に桑原。そして、重要なのは新田と渡邉一成(福島88期)の並びだろう。ワールドカップ第2戦で落車した渡辺は競輪祭を欠場。どの程度の負傷なのか?情報が錯綜(さくそう)していて、ハッキリしないのが現状。ただ、渡邉のコンディションを抜きにしても新田の性格を考えれば、自らが先頭で戦う道を選ぶだろう。昨年のグランプリはプロとして恥ずかしい失格を犯しているだけに、なおさらだ。
競輪祭の時の状態で、好調だったのは平原、深谷、新田。対照的に低調だったのが三谷。武田は徐々にではあるが、復調の兆しを見せていた。三谷がグランプリに照準を合わせているのなら、競輪祭での低調な動きも理解できる。今年のグランプリは2011年以来6年ぶりに平塚競輪場で開催される。あの時は落車があり、落車した選手がゴールしていないうちにファンが乱入するなど、ドタバタで残念なものになってしまった。翌日の新聞には、どこかのカメラマンがカートに引かれて重傷という記事も載っていたように記憶している。
グランプリに出場する9人は1年間、S級S班として走る。記念競輪を中心に斡旋され、G1は特選からのスタートが約束されている。この制度ができた当初、SSのプレッシャーに押し潰された選手もいた。SSなのに優勝はない、記念はおろかF1でも決勝に進めないということもあった。
最後に競輪祭についてだが、売り上げは前年比を上回ったといっても目標の90億円には約3億3,700万円届いていない。もっといえば、4日制のG1史上、下から3番目の売り上げであった。毎年のことだが、シッカリと失敗の原因を見つけることが大事であろう。
Text/Norikazu Iwai Photo/Joe Shimajiri
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター