2017/06/12 (月) 14:55
6月11日(日)に終わった大垣G3は短期登録選手であるシェーン・パーキンス(オーストラリア)の優勝で幕を閉じた。パーキンスは8度目の来日で、新田祐大率いるトレードチーム「ドリームシーカー」のメンバーでもあり、日本のファンに一番知られている外国人選手だと思う。パーキンス以外にも毎年、この制度を利用して外国人選手が来日する。そして、それこそ数ヶ月の滞在で、1年分の収入と同等の賞金を持ち帰っていく。ライン戦の競輪にあっても、それをものともしないくらい彼らのパワーは抜けている。
そんな彼らもG3は出場できても、純粋なG3・記念には出場できない。大垣は「国際自転車トラック競技支援」という名目のG3で、開設記念とは違う。6月15日(木)から開幕するG1「高松宮記念杯」を控え、日本のトップレーサーは参加していなかった。要するに五輪のメダリストが戦う相手は日本の二線級。平原康多や武田豊樹、村上義弘、新田祐大らと戦う機会はないのだ。もちろん、斡旋(あっせん)によってF1で戦うこともあるだろうが、純粋なG3記念を走れないのだから見たくても見られないのが現状なのだ。
この現状で果たしていいのだろうか?世界レベルの走り、それも五輪のメダリストとの対戦はファンも見てみたいだろう。日本のトップレーサーが五輪のメダリストを相手に勝てるのか?正直に話せば、個々の力が違いすぎるために勝つのは難しい。昨年のリオ五輪……日本の成績は散々で、とてもじゃないが五輪ウンヌンを語れるレベルではなかった。
外国人選手と日本のトップレーサーがなぜG3やG2、G1で戦えないのか?
選考基準なるものは存在するが、主催者推薦だっていいじゃないか。日本が生んだスポーツ「KEIRIN」。その母国が外国人選手に勝てない、それを隠したいからではないだろうか?それでは、なぜわざわざ五輪のメダリストを呼び寄せるのか?アピールしたければカーボン製のフレームで戦わせればいい。「KEIRIN EVOLUTION」なるものが存在するのだから。もちろん、1人の外国人選手は参加するが、「KEIRIN EVOLUTION」自体、日本のトップレーサーは参加しない(過去には渡邉一成らが参戦)。正直、主催者の考えは理解に苦しむ。ここにもJKAと日本競輪選手会との間で、思惑の違いがあるのだろう。
新田祐大が逃げて、平原康多が番手捲りを放つ。3番手に武田豊樹がいて、その後ろは村上義弘。それをパーキンスや他の外国人選手が捲れるか?競輪とケイリンのぶつかり合いは、興奮すること間違いなしだ。現状の日本の二線級相手に勝って、高額な賞金を得る。これって、何が面白いのか?前回も書いたが、業界を盛り上げるためには口先の奇麗事ではなく、真にファンの望むレース形態も必要ではないか。競輪選手になるのに国籍条項は撤廃され、日本人でなくても選手になれる。ならば、短期登録で来日する選手をG1に出したっていいじゃないか。そこで日本のトップレーサーとガチンコの勝負をすればいい。日本人が勝てば大いに盛り上がるし、日本の競輪の力を世界に知らしめることにもなる。関係者の中には「勝てない」という先入観があるのだろう。メンツを潰されては困る。たまに来る外国人選手に何千万の賞金を持っていかれては困る。そんな小さなことを言わずに、それこそG1で優勝すれば「グランプリ」出場の権利を得る訳だから、グランプリに出させればいい。
短期登録制度は一種のセレモニーといっても過言ではない。日本のトップレーサーの中には、五輪のメダリストと戦いたいと思う選手もいるだろう。出場できるレースを制限し、なおかつトップレーサーが参加できない日程で行う。いつまでファンを無視すればいいのか、関係者は考えるべきである。
Text/Norikazu Iwai
Photo/Perfecta Navi・Joe Shimajiri
岩井範一
Perfecta Naviの競輪ライター