一次予選Bは5コース、最後方からのスタート。市本隆司-伊藤彰規-宮下貴之-石塚慶一郎-三浦翔大-坂本亮馬の順で周回。

　残り3周でペーサーが外れると、まずは宮下が動きを見せる。石塚-三浦も続くが、坂本は内を掬って一旦は伊藤の後ろへ。

　残り2周手前から、すかさず上昇した三浦を追い上げて番手をキープ。坂本の好判断が光る。そのまま三浦が押し切り、坂本はマークで2着。最終周、石塚がホーム4番手から捲り追い込み2着は同着となった。

　検車場へ引き揚げてきた坂本は涼しい顔。しかし、いつもとどこか目の色が違うような、やる気オーラが漂う。

　本人を直撃すると、開口一番「やる気はいつもないですよ(笑)」と笑ってはぐらかす。「自転車のセッティングが出て、かなり走りやすくなったのが大きい。競輪にちかいセッティングでラクに走れる」と手応えを口にした。

　二次予選A、またしても坂本は最後方5コース。今藤康裕-中西大-木村直隆-鹿内翔-坂本亮馬。

　まずは中西が切って先頭へ出ると、残り2周で木村直が仕掛けて両者の踏み合いに。坂本が一気に踏み上げて、1周かけて出切り先行態勢へ。最後は後位の中西-今藤に交されはしたが、逃げ粘っての3着。

　坂本が逃げるとは驚いた。坂本亮馬、本気モードだ…!

　デイレース後とは打って変わって、息が上がりっぱなしの坂本。時間を置き、レースを振り返ってもらうと「逃げは考えていた通り？ はい。位置的に最後方の5コース、駆けるしかなかった。前の1、2コースに動く今藤君、中西君がいたからね。行かれたら後方のままで終わってしまうので」と明かす。

　坂本さんの先行、見応えがありました！ と記者が言うと「いやいや、俺の脚質は追い込みですからね。脚質先行の中西君を相手にしんどすぎるでしょう(苦笑)。こっちはバリバリ追い込み、あっちはバリバリ先行だもん。ギヤ比の差も出たかな。自分が4.62で、中西君は5.23。逃げ切るには千切らないと厳しいね」と話す。

「もう最後は一杯だったし、逃げ切れないのは分かっていた。4着までなら(準決勝の)権利と思って、あとは後ろから食われないよう必死に踏んだ。もうお腹いっぱい。やる気も脚もないっすよ(笑)」とニヒルな笑みを浮かべる。

「飲み会とかで、一気飲みが回ってきて“空気読まないのも嫌だし、飲むか”みたいな感じ(笑)。それと同じようなもの、嫌々の先行ですよ。さすがに疲れた…」。

　最後はユーモアあふれる例えで検車場を笑いの渦に包んだ。久しぶりの準決勝進出を決め、状態も良さそうだし、ペラが回って絶口調な坂本の一発に期待したい。(アオケイ・八角記者)

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