2025/04/07(月) 17:00 0 6
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週は初日で落車しつつもS班としての走りを見せた犬伏湧也の好プレーをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
犬伏湧也(29歳・徳島=119期)がS班として挑んだ高知記念。なんと初日の4月3日、特選12Rで落車してしまった。ヒヤっとしたものだが、大きなケガではなかったようで2日目の出走表にも名前があった。
S班として、責任をより重いものとして背負う身だ。今回の好プレーは大きく言えば、落車後の3走。苦しい状態の中で戦い抜いたことにある。ポイントを絞るならば、やはり決勝だ。清水裕友(30歳・山口=105期)と2車。豪華メンバーが名を連ねた戦いだった。
冷静に、果敢に…。松井宏佑(32歳・神奈川=113期)、山崎賢人(32歳・長崎=111期)の順で動いた後、先頭にいる山崎のペースを冷静に把握しつつ、残り1周の地点から踏み上げた。単騎の脇本雄太(36歳・福井=94期)が後ろにいて、目の前には眞杉匠(26歳・栃木=113期)のラインがある。ここしかない。
他のラインの勝負権を抑え込みながら、自分のラインのチャンスを広げる。シンプルな狙いだが、大胆さを伴い、強敵を封じるための気持ちの入った仕掛けだった。必ず何かする眞杉の動きを当てにしてのまくり追い込み勝負、で後方の脇本を封じる作戦もあったかもしれないが、リスクが大きくなる。
そして、後ろにいるのが清水。不振にあえぐ清水の姿も今年はずっと見てきた犬伏だ。ラインの仲間を生かしながら、は競輪界の最上位にいる人間として見せ付けたい部分でもあった。
優勝した清水は「優勝できたき、また頑張ります」と高知弁をまじえて表彰式を盛り上げた。自身の力を出し切りつつ、ラインが生きて、また犬伏と清水の2人だけでなく他の選手もさらに気持ちが高まるような好プレー、熱い走りだった。★は4つ。S班として魅せる犬伏の走りを大いに期待しよう。落車後でも戦い抜いた姿に、犬伏の大きな背中が見えた。
すごいで賞=★★★★☆(星4つ)