2025/03/04(火) 12:00 0 8
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週は深谷知広の懐かしのラインでの気合いの好プレーをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
3月2日、名古屋競輪「開場75周年記念 金鯱賞争奪戦(GIII)」の2日目の二次予選9Rは今年のベストレースの候補に挙げられる。誰か1人の好プレーというよりも、好レース。ただ、その中心にいたのは深谷知広(35歳・静岡=96期)だった。
このレースは深谷に笠松信幸(45歳・愛知=84期)と山内卓也(48歳・愛知=77期)の地元勢が付ける構成になっていた。もちろん、番組の熱い狙いがある。愛知所属だった深谷とつながりのある2人の連係が名古屋記念で炸裂する、それをファンに届けようというものだ。む、もしかして好プレーの対象は番組か?
深谷は「懐かしいのもあったけど、緊張がすごかった」と責任を感じていた。絶対に3人で決めないといけない。それに応えるために「全部突っ張る」という走りで挑んだ。
しかし、挑戦者もあきらめない。
脇本勇希(26歳・福井=115期)がこの好プレー、好レースを生んだ助演男優賞だ。青木瑞樹(25歳・岡山=123期)の上昇を深谷が突っ張ると、打鐘前2角から猛然と仕掛けた。一度は3番手に収まれそうだったが、深谷に挑む、という姿勢で踏み上げていった。
深谷の後ろで笠松と脇本、3番手の山内は村上博幸(45歳・京都=86期)と並走になる。バトルロワイヤル、戦場だらけ。銃弾が飛び交う流れだったが、笠松はしっかり番手を確保し、山内も強烈な気合と技術で3番手追走。興奮は最高潮。
青木のまくりも深谷が合わせ切ると、直線は深谷、笠松、山内でゴールした。3角では小さな動きで青木にとどめを刺し、直線で内から来た村上をも封じた山内も極上の好プレー。“愛知3人”の好プレーに★5つだ。
こういう戦いを見られるのが、競輪の醍醐味だ。
すごいで賞=★★★★★(星5つ)