あのひたむきさと人格があれば、神山雄一郎は一般社会でも成功していたと思う。検車での振る舞いなど見ていると、記者の荒んだ心も洗われる。
　レースは後輩の中村隆生が行ってくれ絶好の展開。検車場に戻ってくると、すぐに神山雄一郎は中村隆生を労い「良い掛かりだったよ。俺も一瞬、1着かと思い夢を見た(笑)。最後は外から来られて、みんな強いね」。

　結果だけを見れば、ハコ5着。だけど、王道の走りが体に染みついており、車間を切り、前を残そうとして、ラインで決めるように走っている。えげつなく踏んでいれば1着だったかもしれない。もちろん、頭の中のイメージと、全盛時ではない今は走りに乖離が生じている。900勝まで残り2勝。その勇姿は生で見たい。(町田洋一)