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前田睦生の感情移入

【ちぎり賞争奪戦】幕を開けた佐藤慎太郎のKEIRINグランプリへの賞金争い

2022/01/19 (水) 12:00 11

佐藤慎太郎がいつまでも競輪界を盛り上げる

目の前の一戦にすべてを

 豊橋競輪の「開場72周年記念ちぎり賞争奪戦(GIII)」は1月20〜23日の4日間の日程で開催される。この冬の豊橋は向かい風が強いことで有名。その向かい風に立ち向かうこと…、脚をためること…なんとも気持ちの面でも戦略的な面でも試される舞台だ。結果と内容を考えれば、矛盾するかもしれないが、状況に応じ、かつ求められる走りが必要とされる。

 矛盾するような長期的に見た「短期的戦略」を継続しているのが佐藤慎太郎(45歳・福島=78期)だ。昨年の静岡のKEIRINグランプリは「動きを読み違えた。外に行けば、優勝はなくとも2着まではあったかもしれない」と唇をかむ4着だった。

「まあ、悔しいと思えるから、来年も頑張れるよ」。

 穏やかにレースを振り返っていたが、腹立ち、イラ立ちも感じた。当然だろう。勝負に臨むに当たって半端な気持ちではない。

「今日は、酒、飲むよ! 」。節制に努めるこの数年が、強さと安定を長く支えている。だがこの日ばかりは、飲んだことだろう。

12月30日の思いをこの一年に

口にするだけでなく実践できる強さが必要

 シンタロウ(佐藤慎太郎)の今年一戦目の和歌山記念(和歌山グランプリ)は南関2段駆けを追っての準優勝。今回も一緒の参加になる郡司浩平(31歳・神奈川=99期)とのワンツーだった。意味するものは、今年もこうした“賞金の積み重ねになりそうだ”ということ。

「賞金はいつも気になるけど、やれることは目の前の一戦を頑張ること。それに尽きるんだよ」。

 賞金の話になると、答えは一つだ。目先のことに集中するだけ。いろんなことが気になって、それができないことも人間にはある。シンタロウは完全に短期的なシャットアウトと、それでいて先を見る、背後の心理の操縦を手中にしている。

 何度となく、その位置で戦ってきたからこそたどり着いた境地。誰もが口にするのは簡単でも、実際の行動でその通りにできるかと問われれば、人生においてもそうだし、なおさら競輪の最上位での戦いでできるか…は容易ではないのだ。見えない疲れがあったり、見えているはずのミスを犯したりする。

郡司浩平と清水裕友もスタートは良し

清水裕友はとにかく、かっ飛ばす

 郡司は和歌山記念優勝の好スタートを切り、清水裕友(27歳・山口=105期)は立川記念(鳳凰賞典レース)で決勝繰り上がりの4着ながらも、その4走でつかんだ手応えこそが重要だっただろう。郡司は状況を見極め、きっちり人気に応える。清水は考えるより動く、風が強くても動く、という走りで“らしさ”を発揮するはず。

 地元中部勢は、フレームを自力仕様にして復活をもくろむ金子貴志(46歳・愛知=75期)が、今年こそ輝きを取り戻す。昨年大会の一次予選6着からの途中欠場という悪夢を、吹き飛ばす。

 昨年大会の覇者・吉田敏洋(42歳・愛知=85期)も俄然元気。直近4ヶ月で20勝という原田研太朗(31歳・徳島=98期)も中四国の主役に返り咲く勢いだ。選手たちには過酷だが、強い向かい風と戦う姿を楽しみにしたい。

原田研太朗は冬場に強い


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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