2025/08/19 (火) 12:00 23
函館競輪「第68回オールスター競輪(GI)」が8月12〜17日に開催された。売り上げ目標が140億円だったところ、159億4604万8300円と大きく上回った。連日のイベントに来場したファンも興奮を極め、レースを見て高ぶっていた。
このシリーズが始まる前、函館市競輪事業部の田村隆弘部長は「多くのイベントを開催することでたくさんの人に来てもらいたい。競輪を知らない人にも来てもらい、競輪を知ってもらえれば。それがGIを開催する施行者の使命だと思っています」と語っていた。縦や横の次元を捉えての考えだった。
施行者ーー。当然、競輪を開催する全国の施行者がいなければ競輪は存在しない。戦後復興、傷ついた地域財政の支えとなるべく、競輪は生まれたわけだが、それを長く続けることにも意味がある。GIを開催するには普段の開催とは違い、多大な仕事が必要になる。リスクも抱えるものなので、一つひとつのGI開催の重みを改めて感じたものがあった。
日本競輪選手会北海道支部の山田敦也(42歳・北海道=88期)支部長を先頭とし、地元の選手たちも場内でのファンサービスを徹底的に行っていた。山田は富山記念で(瑞峰立山賞争奪戦)落車した後だったが、東西のスポーツ新聞社への開催告知挨拶を経て、現地でも汗をかいていた。
今では全国の支部がこうしたファンサービスに熱心で、ファンと選手の距離を近づけ、競輪を楽しめる環境作りに役割を果たしている。『選手の走り』が一番なのは違いなくとも、性格や人柄を知ることができれば、より応援しながら競輪に没頭できる。
先月の富山で9連勝を決めS級に特進した話題のルーキー・小堀敢太(25歳・北海道=125期)も持ち前の明るさを生かして輝いていた。当然これからはGIを走って、が求められる。今回の経験は大きなものになったと思う。京都産業大から送り出された新鋭の戦いを、ぜひ追いかけてほしいと思う。
寺崎浩平(31歳・福井=117期)がGI初優勝を成し遂げた。脇本雄太(36歳・福井=94期)と古性優作(34歳・大阪=100期)もオールスターでGI初優勝だったと思うと、やはり縁があった。
寺崎としては「脇本さん、古性さんを連れて優勝するのが目標」と戦前の考えがあった。今回は脇本の先行に乗って、だったので「次は自力で」になるわけでも、今回の優勝の価値は揺るぎない。自力で、ラインの先頭で戦ってきたことがこのレースでは番手戦につながった。寺崎が自分の力でつかみとった優勝には違いない。
北海道も暑くなったとはいえ、選手たちが熱中症のような苦しさを味わうことはさすがになかった。日本の夏は様相を変えている。時期と場所も開催地決定の一因になってくるのだろうと思うところだ。また、選手サイドからすれば「お盆の移動はリスクが高い」ことも荒井崇博(47歳・長崎=82期)の話にあるように重要だ。
繁忙期では移動手段、ホテルの予約もままならないことがある。加えて気候変動で、突発的な欠航の危険性も強まっている。「複数の選手が到着できないこともありうる」は対策も必要。売り上げが良かったので、やはりお盆で…の声もあると思うが、全体として考えないといけないだろう。シンプルに年末年始の近隣地区斡旋は、今年からやっていいと思う。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。