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【電撃引退 特別企画】平原康多ヒストリー〜“関東の総大将”が歩んだ競輪道〜

アプリ限定 2025/07/02 (水) 12:00 16

5月に行われた日本選手権競輪(GI)出走後、突如として現役引退を表明した平原康多。“関東の総大将”が競輪界で成し遂げた足跡を、年表やnetkeirinの過去の記事からたどりたい。(netkeirin編集部)

(撮影:北山宏一)

年表でたどる平原康多の栄光

出来事
826月11日誕生
02競輪学校(87期)在校8位で卒業
8月西武園競輪場でデビュー
06特別競走初優勝(ふるさとダービー)
07100勝達成
08グランプリ初出場
09GI初優勝(高松宮記念杯競輪)
10結婚
弟の啓多が選手デビュー
133年ぶりのGI優勝(全日本選抜競輪)
S級S班復帰
14SSイレブン騒動で3か月出場停止
2210年連続グランプリ出場
23S級S班陥落
24復活のダービー制覇
500勝達成
255月23日現役引退

 平原のラストランは5月4日の「日本選手権競輪(GI)」最終日9R・S級優秀で吉澤純平の番手を回り結果は5着。太田海也、中野慎詞というナショナルチーム所属の2人を相手に吉澤が男気溢れる先行勝負を敢行。平原もそれに応えて捲ってくる中野を必死に牽制した。結果は伴わなかったが、最後の最後までラインを重んじる"関東の競輪"で魅せてくれたその雄姿を競輪ファンは一生忘れない。

平原(7番車)のラストランに花を添えた吉澤(8番車)(撮影:北山宏一)

唯一獲れなかったグランプリ

 GI通算9勝、10年連続でS級S班入り、通算獲得賞金は17億円超え。誰もが認めるトップレーサーとして輝かしいキャリアを築いてきた平原康多。しかし、そんな平原にも、唯一手が届かなかったものがある。それが、14回出場しながらも一度も優勝に届かなかったKEIRINグランプリだ。

 なかでも最大のチャンスと言われたのが、脇本雄太との強力タッグで挑んだ2020年。脇本が先行し、最終2センターでは清水裕友が番手に迫る展開に。ここで平原がタテに踏み出していれば、直線は清水とのマッチレースになり、勝機も十分にあっただろう。しかし、平原が選んだのは、渾身の力でヨコに振り清水を止める選択だった。ラインを組む以上は番手の仕事を果たす、グランプリ優勝よりも己の信じる"競輪道"を貫いた。あまりにも平原らしい、誇り高き選択だった。

引き際の美学

(撮影:北山宏一)

 全日本選抜、日本選手権(ダービー)、高松宮記念杯、寛仁親王牌、競輪祭と5つのGIタイトルを制し、残すはオールスターのみ。あと一冠で競輪界の夢「グランドスラム」に手が届くところまで来ていた平原康多。

 普通であれば、仮に年内での引退を決意していたとしても、「最後にオールスターだけでもーー」と、夢に一縷の望みを託したくなるものだ。しかし、平原は静かにこう語った。

「僕はそこにこだわりがないんです」

 記録や勲章に背を向け、ファンの期待に応えられないと感じたら迷わず身を引く。華やかな戦歴の裏にあるのは、ギャンブルレーサーとしての誇りと潔さ。その決断こそが、平原康多という漢の"競輪道"を物語っている。

「中途半端に走ってからの幕引きは嫌でした」

netkeirinが追いかけた平原康多

netkeirinで発信された過去の記事・コラムから、平原の競輪への情熱や仲間への思いを振り返ろう。偉大なレーサーに影響を受けた選手たちの声も紹介したい。

【Part1】

S班陥落から復活のダービー制覇まで

〈2023年〉

怪我に悩まされ苦しい日々を送った(撮影:北山宏一)

5月 右肩甲骨骨折でダービー欠場
「痛みよりも悔しさで眠れない日が続きました」

7月 満身創痍でも走り続ける
「気持ちだけは切らせたくない」

8月 地元オールスターで優出果たすも7着
「2コーナーではもう僕が優勝できる展開じゃなかった」

11月 残すは競輪祭、S班陥落迫る
「乗り越えて必ず復活しますよ」

S班陥落決まるも前で頑張った坂井洋(4番車)をねぎらう(撮影:北山宏一)

11月 S班陥落決定もファンの声援に感動
「ここからまた何とか頑張ろうと奮起させられました」

〈2024年〉
1月 10年ぶりに外からグランプリを見て
「ここにはもう戻れないという感覚もまったくなかった」

3月 自力も繰り出し復調気配漂わせる
「底は完全に脱しました」

5月 吉田拓矢の番手から抜け出し涙のダービー制覇
「ウィニングランは味わったことがない感覚になりました」

悲願のダービー制覇に涙をこらえきれない平原(撮影:北山宏一)

【Part2】

武田豊樹とのゴールデンコンビ

平原と武田のゴールデンコンビは一時代を築いた(撮影:北山宏一)

SS11騒動でグランプリ黄信号も武田が優勝へ誘う
関東の重鎮4車が結束

引退後トークショーで武田との連係を決断したキッカケ語る
「神山雄一郎さんの『連係しよう』という一言」

トークショーで武田との思い出を語る平原(撮影:北山宏一)

武田が平原の代わりとして関東の"鬼軍曹"に!?
「康多は優しい性格だから」

【Part3】

弟分・宿口陽一、武藤龍生との絆

武藤龍生が語る平原康多
平原のダービー優勝を後ろから見届けた武藤は「何だか映像がキラキラしていましたよ」と後日の対談で語っている。
【平原康多×武藤龍生】“憧れ”から練習仲間に…近くにいるから見える互いの素顔「平原さん…マジかよ」

(撮影:北山宏一)

吉田拓矢に千切れた宿口に厳しい言葉
「拓矢には頭を下げた」

宿口にS班としての心構えを伝授
「自力も出さないと」

平原康多の魂は武藤龍生(左)と宿口陽一が継承してくれるはずだ(撮影:北山宏一)

迷える子羊・宿口に愛のある喝!
宿口「平原さんから手厳しい事を言われた」

宿口の頑張りを常に見守る平原
「今の頑張っている姿も見ていますから」

※選手の年齢は記事掲載当時のものです

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