アプリ限定 2025/06/27 (金) 18:00 22
『競輪選手になるために、そして夢を叶えるために』今年は第129回生として男子72名、第130回生として女子21名の候補生たちが日本競輪選手養成所に入所し、2026年のプロデビューを目指している。この時期、“未来の競輪スター候補”と題して毎年お届けしている本シリーズだが、今年は10名の注目候補生へインタビューを実施した。今回は129回生・中野大詞(なかの・だいじ)候補生を紹介する。(取材・netkeirin編集部)
アジア王者・中野慎詞を兄に持つ中野大詞候補生が2026年デビューに向けて絶賛奮闘中だ。養成所入所までの苦難多き1年間を振り返り、兄という大きな存在についても率直に語ってもらった。
ーーまず、これまでのスポーツ歴を教えてください。
小学校・中学校は陸上競技とアルペンスキーをやっていました。高校から自転車競技を始めて、大学3年生までずっと長距離種目をしていました。
ーー養成所に入るまでの1年間はどのように過ごされたんでしょうか?
養成所入所を目標に動き出したのは2024年1月だったのですが、3月に腎臓の病気で入院してしまいました。退院してから本格的に練習再開できたのは7月末。だいぶ焦りがあった中での入所試験…。自分の中では辛かった1年間でした。
ーーそれはとても大変でしたね…。差し支えない範囲でどのような病気だったんでしょうか?
全然オープンなのでなんでも聞いてください(笑) 病気は急性腎不全でした。短距離は無酸素運動なのでなる可能性があるみたいで…。あとはなりやすい体質もあるらしいんです。大変でしたが今はもう大丈夫です。
ーー大変な中での養成所入所。誰でもできることではないと思います。お兄さんがアジア選手権で金メダルを獲得した姿に憧れて自転車競技を始められたんですよね。競輪選手を目指そうと思った決め手はなんでしたか?
大学3年生になって就職を考えた時、自分の性格上、このまま挑戦しないのは後悔すると思いました。それで“今しかできない”スポーツ選手になろうと思って決めました。
ーーチャレンジする方を選ばれたんですね。大詞候補生にとってお兄さんはどのような存在ですか?
心強い存在でもあり、プレッシャーでもあります。今までは、「僕は長距離で、兄は短距離」と、異なる土俵でやってきましたが、これからは同じ目線で見られる。『中野慎詞の弟』と見られるプレッシャーはやはりありますが、それに負けないくらい活躍しなければならない、それくらい強くならないといけないと思っています。
今は兄と連絡を取ることができませんが、試験前や入所前には「どう走ったらいいか」「競輪選手はどういう選手でなければならないのか」「1年間どういった生活を送れば強くなれるか」「どうしたらデビューした時にも戦える選手になれるか」など、いろいろなことを教えてもらいました。そういう面では心強いのかなと思います。
ーーお兄さんよりこれは得意!というものはありますか?
兄はどう思っているかわかりませんが、自分は兄より社交的なタイプかもしれません。人との繋がりを大事にしたりコミュニケーションが得意なのかなと思いますね(笑)
ーーコミュニケーションはお兄さんより自信があると…(笑) お兄さんとの思い出や、最近あった出来事を教えてください。
リモコンの取り合いとか、こたつの足の位置で揉めたりとか…子供の頃はしょうもないことでよく喧嘩していましたね。
最近の出来事は…漢字の競輪をやると決めて養成所入所を目指すという時には、全て兄にサポートしてもらいましたね。自転車もお下がりです。いつもは自転車や機材は父にサポートしてもらうことが多かったんですが。この時は心強かったですし、いい兄を持ったなと思いました。
ーーそれは心強い! Instagramで拝見しましたが、お家には愛犬がいるんですよね。
はい。ボーダーコリーが2匹いて、「うに」と「なつめ」です。1匹はすごい怠惰な犬で、もう1匹は運動が大好きな犬なんです。写真1枚じゃ寂しいなって思ってInstagramには何枚か写真をあげちゃいますね(笑)最近は会えなくて寂しいですね。
ーー早く会いたいですね。また競輪のお話に戻りますが、自分にしかできない競輪人生をどう描いていきたいですか?
僕は兄みたいに体が大きくなく、スプリント力もないです。そこを課題として持っていますが、先行選手として長く活躍できるように頑張りたいと思っています。早稲田大学でトレーニング科学を勉強してきたので、最先端の知識を活かしたトレーニングや競輪をしていきたいです。
ーー最後に、競輪選手としての目標を教えてください。
まずはデビュー後に最短でS級に上がって、GIの決勝で兄の前を走れるように頑張りたいと思います。
ーー素晴らしいです。頑張ってください!
「中野慎詞です」と兄を名乗る大詞候補生の第一声からスタートした今回の取材。答えづらい質問にも、愛嬌のある笑顔を終始絶やさず、ユーモアを交えて答えてくださった。病気を乗り越え、限られた時間の中で懸命に練習を積み、入所試験を突破。決して平坦ではなかった道のりには、大詞候補生の芯の強さがにじむ。心強い兄との兄弟連係を掲げ、弟としての重圧を自覚しながらも、自らの手で“中野大詞の競輪人生”を切り開いていくーー。
netkeirin編集部
netkeirin Editorial department
netkeirin編集部がピックアップする“未来の競輪スター候補”のインタビューをお届けします。