2025/06/07 (土) 12:00 8
今年、2025年は6月に入りなお台風の発生が「0」だという。競輪界もグレード戦では順当に上位の選手たちが結果を残し、波乱の年とはなっていない。「全日本選抜競輪(GI)」Vの脇本雄太(36歳・福井=94期)、「ウィナーズカップ(GII)」Vの古性優作(34歳・大阪=100期)に「日本選手権競輪(GI)」Vの吉田拓矢(30歳・茨城=107期)、そして記念をすでに今年5回優勝の郡司浩平(34歳・神奈川=99期)ら上位の壁は厚い。
すぐに今年、とはいかなくとも競輪界の台風の目になりそうな気配の若手は出てきている。5月平塚記念(湘南ダービー)は二次予選で失格、自身も落車して大ケガを負った阿部英斗(20歳・福岡=125期)。だが、失格は良くないとしても、これからの競輪界に旋風を巻き起こしそうなムードは漂う。
ケガを治してからになるが、小倉の選手によると「久留米記念を走りたい」と自転車に乗っているそうで、そのド根性はやはり頼もしい。125期は森田一郎(24歳・埼玉=125期)も京王閣の落車で重傷を負ってしまったが、しっかり体を整えて復帰してほしい。山崎歩夢(20歳・福島=125期)もそうだ。中石湊(20歳・北海道=125期)はジャパントラックカップIIのケイリンで、2位入線繰り上がりとはいえ優勝。スプリントのハロンは9秒7くらいを出すなど、競輪、自転車競技ともに楽しみは増すばかりだ。125期は、『やる』と思っている。
昨年のヤンググランプリを制した纐纈洸翔(22歳・愛知=123期)も落車が合って乗り切れていない。今年一番の台風の目になりそうだったが、アクシデントに泣いている。とはいえ、アクシデントは競輪選手にとってつきもの。どう乗り越えるか、がすべてだ。
走っているレースでは、あきらめない、しぶとい、そして勝負強いところを所々、発揮している。これで本格化してくれば、中部の核となれる。これからの戦いで、それを示してほしい。
121期はすでに中野慎詞(25歳・岩手=121期)と太田海也(25歳・岡山=121期)がいるわけでだが、121、123、125期がGIの舞台を席巻する日を待ちたい。若手たちの突風、暴風に実力者が両の足を踏ん張って迎え撃つレースを見たい。
121期では東矢圭吾(26歳・熊本=121期)も期待される1人だ。東矢も落車やケガがあって、出世を続け、ラインの先頭での実績も残してはいるものの、もう一つ上、に上がりたい。
そんな東矢が襲われた悲劇が気になっている。公衆浴場の脱衣所でうんこを踏んだと自身の「X」で発信した。信じがたい内容だったが、東スポレースチャンネルのインタビューで詳細を聞いたので、気になる方はそちらをぜひご覧ください。
何よりも、なかなか起こり得ないことが起きる、というだけでも可能性を感じる。うんこを踏んだ、それも素足で人糞を…という事実はショックだったと思う。ただしそこには、そこからに、可能性が広がっていることを東矢は感じてほしい。足の裏で感じたものを、ペダルから世界へとぶちまけてほしい。
脇本や新田祐大(39歳・福島=90期)にしても、アクシデントを巻き込みながら、巨大な人間、選手となっていっている歴史がある。
ガールズケイリンでは熊谷芽緯(21歳・岩手=124期)が旋風を巻き起こしている。“もうひとつ上”までいって1個の台風となってほしいもので、楽しみしかない。
現在、競輪選手養成所に130回生として入所中で、ナショナルチームの強化指定Bに入っている小原乃亜候補生は、熊谷とアマチュア時代にチームスプリントで一緒に走っていた仲。熊谷は小原の1つ下で、小原は大学に進学してから今の道がある。
すでに競技の大会でも頑張っているもので、こちらもまた大いに楽しみ。
X(旧 Twitter)でも競輪のこぼれ話をツイート中
▼前田睦生記者のXはこちら
前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。