2025/05/03 (土) 08:00 3
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。KEIRINグランプリを三度制した帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から、狙い目の2レースをお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
名古屋4R 日本選手権競輪(GI)S級特選
①荒井崇博(82期=長崎・47歳)
②小川真太郎(107期=徳島・32歳)
③松谷秀幸(96期=神奈川・42歳)
④椎木尾拓哉(93期=和歌山・39歳)
⑤南修二(88期=大阪・43歳)
⑥晝田宗一郎(115期=岡山・26歳)
⑦三谷竜生(101期=奈良・37歳)
⑧山岸佳太(107期=茨城・35歳)
⑨嘉永泰斗(113期=熊本・27歳)
【初手・並び予想】
←⑨①(九州)⑥②(中四国)⑧③(混成)⑦⑤④(近畿)
【注目のヨーロッパ】
⑥晝田宗一郎
⑧山岸佳太
負け戦とはいえ、なかなかの好メンバーとなった第4レース。四分戦で、どこが主導権を奪うか読みづらいメンバー構成である。人気を集めるのは、⑨嘉永泰が先頭の九州ラインか、⑦三谷竜が先頭の近畿ラインだろう。なかでも注目は、機動力上位で車番にも恵まれた九州勢。番手を回るのが①荒井崇というのもあって、ここが一本かぶりの人気となっても不思議ではない。
車番に恵まれなかった近畿勢は後ろ攻めからの組み立てとなりそうで、“数の利”は生かしたいが、⑦三谷竜が積極的に逃げる展開まではどうか。それは⑨嘉永泰も同様で、ここで逃げたいとは考えていないと思われる。⑨嘉永泰の前受けから、⑦三谷竜や⑧山岸佳が順番に前を斬っていき、タイミングが合った選手が思いきって逃げるような展開になるのではないかと予測する。
そうなると、中四国ライン先頭の⑥晝田宗が思いきって主導権を奪い、⑨嘉永泰が後方に置かれる展開もありそう。斬って斬られてが繰り返され、「⑥②・⑧③・⑦⑤④・⑨①」の隊列で⑥晝田宗が逃げると、高配当の期待度がグンと高まる。3日の二次予選では最下位に終わった⑥晝田宗だが、初日の一次予選では外併走から力強く捲って1着と、デキのよさを感じさせる走りをしていた。
捲ってくる⑨嘉永泰を利する①荒井崇や、⑦三谷竜の追撃を退けるのは容易ではないが、それが成った場合のリターンの大きさは相当で、⑥②⑧③という隊列で勝負どころを迎えられれば、これは猛烈にアツい。番手を回る②小川真との②=⑥スジ決着はもちろん、そこに⑧山岸佳が食い込んできての②=⑧や、こちらのラインが捲りきっての③=⑧絡みなどは高配当必至。⑦三谷竜や①荒井崇は、あって2着までという買い方が面白い。
⑥⑧どちらのヨーロッパがより期待できるかといえば、やはり⑥晝田宗のほう。3連単での高配当を積極的に獲りにいくならば、「②⑥⑧→①②⑥⑦⑧」から手広く流すカタチとなるか。ここを2車単12点で勝負するのもアリで、このあたりは直前のオッズ次第。いずれにせよ、九州勢と近畿勢の評価を思いきって割り引いて、⑥晝田宗や⑧山岸佳を狙っていきたい一戦といえる。
【予想レース②】
名古屋9R 全日本選抜競輪(GI)S級準決勝
①松井宏佑(113期=神奈川・32歳)
②平原康多(87期=埼玉・42歳)
③新山響平(107期=青森・31歳)
④太田海也(121期=岡山・25歳)
⑤坂井洋(115期=栃木・30歳)
⑥阿部力也(100期=宮城・37歳)
⑦松浦悠士(98期=広島・34歳)
⑧成田和也(88期=福島・46歳)
⑨郡司浩平(99期=神奈川・34歳)
【初手・並び予想】
←①⑨(南関東)③⑧⑥(北日本)⑤②(関東)④⑦(中国)
【注目のヨーロッパ】
④太田海也
⑧成田和也
⑥阿部力也
3名のS級S班など、超強力メンバーとなった準決勝第9レース。ハイレベルな機動力を有する選手が各ラインの先頭を任された四分戦で、道中で動きのある展開となりそうだ。上位拮抗の混戦模様だが、上々のデキにある①松井宏が先頭の南関東ラインや、③新山響が先頭で唯一の3車と“数の利”もある北日本ラインが、ここは人気を集めるはず。主導権を奪う確率が高いのは、やはり③新山響だろう。
デキもなかなかよさそうな③新山響だが、これだけ機動力のある選手が揃うと、逃げ切りが難しいのは言うまでもない。初手での前受けを狙うのが難しそうなメンバーで、関東ラインの先頭である⑤坂井洋や、中国ライン先頭の④太田海が先に前を斬って、その後でタイミングを見計らってのカマシ先頭となるか。主導権を奪うのに早めの仕掛けを要求される展開となりそうで、末を欠くケースもありそうだ。
この展開で浮上するのが、③新山響の番手を回る⑧成田和や、ライン3番手を固める⑥阿部力だ。③新山響が脚をどこまで残せるか次第だが、それ次第では番手の⑧成田和が早めに踏んで、いわゆる「ズブズブ」での⑧-⑥がありえる。③新山響が1〜2着に粘ると堅い決着となるが、⑧-⑥や⑧-①④⑤から流す3連単ならば、組み合わせ次第で配当は一気にハネ上がるはずである。
そして、このレースの「ヨーロッパ」で⑧成田和以上に魅力を感じるのが、④太田海だ。一次予選と二次予選をともに1着で勝ち上がり、内容のよさも文句なし。相手関係は格段に強くなるが、このデキならば互角以上に張り合えるとみている。一気に前を捲りきって、番手を回る⑦松浦悠との④=⑦決着であっても、このレースならば悪くないリターンを得られそう。こちらは素直に、④=⑦から流す3連単が推奨買い目となる。
いずれにせよ、人気の中心となりそうな南関東ラインの信頼度はそこまで高くはなく、人気薄の伏兵が上位に食い込んでくるケースもあるはず。「ヨーロッパ穴予想」的な見方からでなくとも、デキ絶好の④太田海は要注意である。この相手に無傷の3連勝を決められるようならば、日曜日の決勝戦でも侮れない存在となるはず。若きダービー王が誕生というシナリオに、準決勝の段階から賭けてみるのも面白い。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。