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【今年デビュー128期】円盤投げから異色の転身! 27歳半田水晶の“先行”への強い憧れ「自分には一番かっこよく見えた」/卒業記念インタビュー

アプリ限定 2025/03/14 (金) 12:00 7

今年デビューする競輪選手候補生の第127回生(男子)と第128回生(女子)の卒業式が7日、伊豆市の日本競輪選手養成所で行われた。当サイトでは競輪選手候補生の卒業を記念してルーキーたちの横顔を特集シリーズで更新中。Vol.5となる今回は、自転車未経験からゴールデンキャップ獲得&適性1位で卒業した半田水晶候補生(はんだ・みずき)のインタビューをお届けする。(取材:3月4日卒業記念レースにて/構成:netkeirin編集部)

128回生としてデビューする半田水晶

 中学からの14年間陸上競技に打ち込み、高校からは陸上競技の一種である円盤投げを始めた半田水晶候補生(27歳・茨城)。高校卒業後はアスリートを多く採用する塗料の会社に入社し、円盤投げの実業団で大活躍。全日本実業団選手権では全国3位と素晴らしい成績を残す中で、心境に変化があったというーー。

円盤投げから異色の転向! “挫折”をバネに奮起

ーープロフィールシートで『現在の兄弟子・小坂丈選手(29歳・茨城=121期)との出会い』が選手を目指したきっかけになったと書かれていましたが、どこで知り合ったのですか?

 私の所属している大学に小坂さんがトレーニングでいらしていて、そのご縁で出会いました。そこでガールズケイリンというものを知って…。

ーーそれまでガールズケイリンは全く知らなかったと。

 そうですね。大学の同期に梶原悠未選手(TEAM YUMI所属)がいたので自転車競技自体は知っていましたが、“ガールズケイリン”としてあるのは知りませんでした。

ーー「選手になろう」という最終的な決め手はなんだったんでしょうか?

 陸上競技を続けていく中で、「このままやっていても、今より上にいくことはできないな」と限界を感じていました。いっそのこと全く別の競技に転向して、スポーツ選手人生を続けていこうと思ったんです。あとは勉強があまり好きじゃないなと思って…(苦笑)やるならスポーツでやっていきたいという気持ちがありました。

ーーそうなんですね(笑)そこから練習して、一発で入所を決めたんですか?

 そうですね。適性試験での入所ではあるんですが、一発で入ることができました。

自転車未経験からの一発合格に感じるポテンシャル

人一倍負けず嫌い! ちょっと渋い意外な趣味とは…?

ーー陸上競技、円盤投げを経てガールズケイリンの世界へ。それぞれの競技性などを比較してみてどうですか?

 そうですね、円盤投げは一人で記録との勝負する競技だったので、やっぱり全く違いますね。でもガールズケイリンでの駆け引きとか、みんなで競りあったりするのは楽しいです。

ーー“記録との戦い”と“他者との戦い”という点で、かなり大きく違うと思います。競技性の違いで戸惑いはなかったですか?

 そうですね…。陸上時代でもリレーなどで他の人と勝負する機会はあったので、競り合うという点においては、そこまで戸惑いはなかったかもしれません。

ーーそうなんですね。対戦相手と勝ち負けをつけるというのは気持ちが大事な面もあると思いますが、ご自身のことをどんな性格だと思いますか?

 アスリートあるあるだと思うんですけど、やっぱり負けず嫌いですね。人に負けたくない、という気持ちは強いですね。

「人に負けたくない気持ち」は人一倍強いという半田候補生(写真提供:チャリ・ロト)

ーー養成所ホームページのインタビューで「ご飯3食出ることが嬉しい」と実業団出身らしいコメントをされていたのが印象的でした。養成所でお気に入りの献立はありましたか?

 やっぱりカレーライス(即答)。美味しいですね。お昼に出る麺類も好きでした。3食ご飯が出てくるのは、本当に、本当にありがたく嬉しかったですね。

ーーリフレッシュできる趣味とかってありますか?

 観劇とかですね。坂東玉三郎さんが好きで。あと、歌舞伎、コンサートとかに行きます。中島みゆきさんも好きですね!

ーーなんだか渋いですね!(笑)

 そうですね(笑)

「自分には一番かっこよく見えた」先行への強い憧れ

ーー養成所で一番感情が揺れたエピソードはなんですか?

 一番感情が揺れたのは、HPD(ハイパフォーマンスディビジョン)の教場に選出していただいた時ですね。正直、自転車競技には興味があったんですが、第1回目のHPDに選出されなかった時点で「競技はもういいや、競輪一本でいこう」と思っていました。自分の中で覚悟が決まっていたところで選出されたので…。光栄なことではあったんですが、どうしてもうまく切り替えられなかったですね。

ーー陸上だと先にあるのはオリンピックだったりしますもんね。競技の方も興味が当然出てきますよね。

 そうなんです。でも、一般教場も大好きだったので、あの時が一番感情が揺れました。

ーー自転車に慣れながら探りながらという10ヶ月間だったと思いますが、振り返ってみていかがでしたか?

 10ヶ月は本当にあっという間でした。正直足りないなと思っていますし、まだまだ足りないことばかりですね。養成所を出てからが本当の勝負だなと感じています。

ーー自転車に慣れない中で練習を積み、ゴールデンキャップを獲得されましたが、ご自身の長所はどのようなところにあると思いますか?

 (円盤投げ経験からか)やっぱりパワーがあると思っています。パワーを生かした踏み出しだったり、トップスピードまで持っていく時間が短いというところが自分の長所だと思います。そこを生かした上で、今は末脚が足りないので強化していきたいです。

ーー末脚を強化した上で、先行勝負をしていきたいということですか?

 そうですね。末脚もそうなんですが、自分のトップスピードでバンッ! と行けるところでも勝負できると思っているので、そこも生かして先行でやっていきたいと思います。

 ガールズケイリンは全員が単騎なので、その中で先行で逃げ切るって本当に難しいことだと思うんですけど、自分にはそれが一番かっこよく見えたんです。だから、先行のスタイルで挑戦していきたいと思っています。

卒記レースは6着も先行で見せ場つくり、しっかり爪痕を残した(写真提供:チャリ・ロト)


 社会人経験を経て27歳で競輪界入り、デビュー後には多くの試練が待ち受けているかもしれない。挫折の味も知る半田候補生の真摯でまっすぐな言葉の端には、その確かな覚悟が滲んでいた。4日の卒業記念レース決勝戦では6着に終わるも、臆することなく先行勝負に挑み、気迫ある走りを見せてくれた。尊敬する選手は、奥井迪選手(43歳・東京=106期)と養成所現所長・滝澤正光氏。いずれも人の心をグッと掴む“先行勝負”が身上のレーサーだ。円盤投げで培ったパワフルさとブレない“先行”への思いを胸に、ガールズケイリンに新風を吹かせる!

■卒業記念インタビュー公開スケジュール
・3月10日(月)12時00分 北岡マリア
・3月11日(火)12時00分 椎名俊介
・3月12日(水)12時00分 北津留千羽
・3月13日(木)12時00分 岩原健馬
・3月14日(金)12時00分 半田水晶
・3月15日(土)12時00分 酒井亜樹
・3月16日(日)12時00分 “銀河系軍団”127回生・128回生データ考察特集

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