2025/02/23 (日) 07:30 2
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。KEIRINグランプリを三度制した帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から、狙い目の2レースをお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
豊橋3R 全日本選抜競輪(GI)S級一般
①久米康平(100期=徳島・33歳)
②菊池岳仁(117期=長野・24歳)
③瓜生崇智(109期=熊本・30歳)
④大川龍二(91期=広島・40歳)
⑤神山拓弥(91期=栃木・38歳)
⑥内藤秀久(89期=神奈川・43歳)
⑦小倉竜二(77期=徳島・48歳)
⑧福島武士(96期=香川・39歳)
⑨伊藤颯馬(115期=沖縄・25歳)
【初手・並び予想】
←①⑦⑧(四国)②⑤(関東)④(単騎)⑨③(九州)⑥(単騎)
【注目のヨーロッパ】
④大川龍二
第10レース以降は堅めの決着となったが、その前は高配当がバンバン飛び出していた、2日目の豊橋・全日本選抜競輪(GI)。3日目は、まずはこのレースに高配当の気配を感じる。三分戦で単騎が2名というメンバー構成で、主導権を奪うのはおそらく関東ライン先頭の②菊池岳だろう。しかし、唯一の3車ラインとなった四国勢や、⑨伊藤颯が先頭の九州勢も戦闘力は十分。かなりの混戦になると思われる。
この組み合わせならば②菊池岳は、主導権を奪うこと自体はそう苦労しないはずだ。しかし、このシリーズでの②菊池岳は初日が9着、2日目が8着と精彩を欠いている。負け戦とはいえこのデキで、しかも2車でこの相手に先行勝負を挑むとなると、かなり厳しい。番手を回る⑤神山拓とのワンツーが決まる確率は、かなり低いと思われる。それがわかっているので、ファンもここを人気にはしないはずだ。
人気は、中団でうまく立ち回る四国勢と、後方から一気に捲る九州勢が二分することになりそう。番手を回るのが同県の⑦小倉竜とあって、①久米康は中団から積極的に仕掛けていくはずだ。しかし、その動き出しが早いと、後方で虎視眈々と構える⑨伊藤颯がひと捲り…という展開になってしまう。勝ち上がりを逃したとはいえ、⑨伊藤颯はこの中に入るとデキがいい部類。となれば、①久米康は仕掛けるタイミングがなおさら難しい。
そこで注目するのが、単騎で勝負する④大川龍である。同じ「ヨーロッパ」でも、タテ脚があって車番的にも有利であるぶん、⑥内藤秀よりも格段に狙いやすい。主導権を奪うであろう関東勢の後ろにつける手も、四国勢の先頭である①久米康が積極的に仕掛けるとみて、この後ろから勝負する手もある。①久米康の仕掛けが遅ければ、果敢な単騎捲りに出る手だってあるだろう。単騎にしては、かなり選択肢が多いのだ。
ただし、1着まで突き抜けられるかどうかは微妙なところ。ここは「④大川龍を2着または3着に1点固定」したフォーメーションでの勝負をオススメする。選択肢が多いぶん展開を絞りづらい面があるので、3連単「①⑦⑤⑨→④=全」のような投網フォーメーションで高配当を狙いにいくのも面白いはず。そうそう順当に決まるレースとは思えないので、波乱を前提とした攻めの姿勢で勝負だ!
【予想レース②】
豊橋5R 全日本選抜競輪(GI)S級選抜
①竹内智彦(84期=宮城・47歳)
②杉森輝大(103期=茨城・42歳)
③清水裕友(105期=山口・30歳)
④山口富生(68期=岐阜・55歳)
⑤和田圭(92期=宮城・39歳)
⑥吉田有希(119期=茨城・23歳)
⑦桑原大志(80期=山口・49歳)
⑧根田空史(94期=千葉・36歳)
⑨雨谷一樹(96期=栃木・35歳)
【初手・並び予想】
←⑧⑤①(混成)⑥②⑨(関東)③⑦④(混成)
【注目のヨーロッパ】
⑥吉田有希
⑧根田空史
第5レースは、各ラインとも3車の三分戦となったが、混成ラインがそのうち2つ。⑧根田空が先頭の「東の混成ライン」には、北日本の⑤和田圭と①竹内智がついた。そして「西の混成ライン」は③清水裕が先頭で、番手に同県の⑦桑原大、3番手が中部の④山口富である。注目されるのは当然ながらS級S班の③清水裕だが、初日の9着に続いて2日目の二次予選でも8着に終わり、勝ち上がりを逃している。
③清水裕は、肺血栓であったのが判明して休養期間は治療優先だったとのことで、やはり身体が仕上がっていない。「それでも負け戦のここなら」と狙いたくなるのがファン心理というものだが、ここまで動けないとなれば話は別だ。調子が戻るのにはまだ時間を要するはずで、3日目はもちろんのこと、最終日もかなり厳しい戦いになる。車番にも恵まれなかった西の混成ラインは、バッサリ「消し」で勝負したい。
となれば、ここは⑥吉田有が先頭の関東勢と、⑧根田空が先頭である東の混成ラインの戦いということ。車番から考えると東の混成ラインが前受け、関東勢が中団となりそうだが、どちらが主導権を奪うかは判断が難しいところだ。可能性が高いのは、⑥吉田有の主導権で、後ろが他地区の⑧根田空は捲りで勝負…という展開だろうが、これが逆となるケースも十分に考えられる。
関東ライン番手の②杉森輝や、⑧根田空の番手を回る⑤和田圭が人気を集めそうだが、両選手ともに調子がいいとはお世辞にも言えない。このデキで、そうそう簡単に前を差せるとは思えない。となれば、ここで1着に狙うべき対象は「中団から捲るラインの先頭」となりそうだ。以上の材料から、ここは「⑥吉田有と⑧根田空を1着固定で狙う」のが面白そうだと判断した。
⑥→②や⑧→⑤からのスジ決着が本線となるが、⑥吉田有の脚が止まってから⑧根田空が捲っての⑧→②や、その逆パターンである⑥→⑤からの買い目も、しっかり押さえておきたいところ。本線を設定しない大雑把な狙い方をするならば、「⑥⑧→②⑤⑥⑧→①②⑤⑥⑧⑨」の24点でもいいだろう。「ヨーロッパの1着固定」かつ「③清水裕が先頭のラインを消し」ならば、意外に香ばしい配当が期待できるかもしれない。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。