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伝説ヤマコウ 炎のレース展望

【春日賞争覇戦予想】SS受難の開催を制すのは 先行選手の意欲と経験値から考察/ヤマコウ展望

2023/02/05 (日) 12:00 45

競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。

 奈良競輪開設72周年記念GIII春日賞争覇戦決勝メンバーが出揃いました。ライン構成は以下の通り。

④皿屋豊(三重・111期)ー③柏野智典(岡山・88期)
⑧阿部拓真(宮城・107期)ー⑤新田祐大(福島・90期)ー②佐藤慎太郎(福島・78期)
⑨中西大(和歌山・107期)ー⑦山田久徳(京都・93期)ー①三谷竜生(奈良・101期)ー⑥栗山俊介(奈良・103期)

 今節は脇本雄太(福井・94期)が初日特選を走り腰痛で欠場、平原康多(埼玉・87期)が落車、古性優作が失格とS級S班受難の開催となりました。その中で佐藤慎太郎と共に開催を盛り上げたのが新田祐大です。準決勝で見せた新田の走りは経験者として信じられませんでした。新田は打鐘過ぎ、嘉永泰斗(熊本・113期)のお尻にぶつかりバランスを崩して大きく上に膨らみます。急加速する最中に壁にぶち当たるようなもので、そのままフェンスにぶつかる危険もありました。しかし、奇跡的に落車を回避。そのまま詰める勢いで先行する中井俊亮(奈良・103期)を捲りました。普通ならその時点でホッとして力が抜けるものですが息つく暇もなく仕掛けて1着。これには場内のファンも大歓声でした。

 新田は今年に入り昨年の不振が嘘のような活躍をしています。立川、和歌山も必ず見せ場をつくりファンを納得させる走りをしています。ファンは命の次に大切なお金を賭けて買った選手を応援します。そこが他のスポーツと違うところで、負けても見せ場を作れば負けたファンも納得します。今の新田はお金を賭ける価値がある選手と言えるでしょう。

 その視点で見たら決勝の並びは地区別にお金を賭けている競技なのかと思ってしまいます。記念を一度も優勝したことない選手が、何回も優勝した選手を引っ張り、地区に貢献するのは何か違う気がします。優勝は自分で掴み取ることがお金を賭けて頂いているファンに対する礼儀だと思うのですが…。

 レースはどう進むでしょう。先頭を任された⑨中西、⑧阿部は主導権取りに意欲旺盛でしょう。早めの主導権取りは、誘導員退避が絡む残り2周半のタイミングが勝負です。そこは自力に一日の長がある⑨中西の方が有利だと考えます。しかし、北日本勢と近畿勢の先行争いのように見えてもどちらかが前を取れば、後ろから押さえに来るのは④皿屋なので、激しい主導権争いにならず前受けしたラインが先手を取れるかもしれません。

 先ほど、先行に一日の長があるのは⑨中西だと書きましたが、普段後ろを回っている⑧阿部の方が「何がなんでも主導権を」と鼻息荒く、⑨中西はいつもの延長でレースに挑めばいいと考えたからです。先手取りを失敗したくない北日本勢を前受けで考えます。

S.⑧⑤② ⑨⑦①⑥ ④③

 後ろになった④皿屋が動きます。しかし、④皿屋も先行争いに付き合う必要がない上に、位置取りにうるさいタイプではないので、一旦下がって態勢を整えます。そこで⑨中西が一気に主導権を取りに行きます。

      ←⑨⑦①⑥
打鐘.⑧⑤②     ④③

 最終ホームで⑤新田を越えなければ、近畿勢は外に浮いて苦しいでしょう。しかし、私は先行に対する経験の差で⑨中西が主導権を握ると考えました。

 ←⑨⑦①⑥
H. ⑧⑤② ④③

       ←④③
     ⑥
B.⑨⑦① ⑤②
      ⑧

・狙い目
1=7ー523
1=5ー372

 同じ先行意欲が強いなら、経験値が違う近畿勢を本線にしました。お腹がいっぱいだからラインの先頭で貢献するのではなく、今後の自分につながる走りとは何なのかを考えて取り組んで欲しいと思います。

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山口幸二

Yamaguchi Kouji

岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。

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