2024/07/16(火) 11:53
国際ステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」最終日の「SPEEDチャンネル 東京ステージ」が5月26日、東京都大井埠頭特設コースで開催された。
当日は晴天に恵まれ、3万人を超える観客を迎えての華やかなレースとなった。
コースは、大井埠頭に設定された1周6.5kmの周回コース。アップダウンがなく、完全フラットで、例年高速レースとなり、最後にはスプリンターたちの迫力ある競合いが展開される。折り返しで両車線を使うため、観戦しやすく、例年多くの観客が訪れる人気レースだ。レースはこのコースを16周する104kmの設定で競われる。
完全フラットな6.5kmコースを16周回する
最終ステージ、スタートライン最前列には、各賞のリーダーが立った。個人総合首位のジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)は次点に2分7秒の差をつけている。平坦で集団ゴールが多く、タイム差がほぼつかない最終ステージでこの差が覆されることは、まずないだろう。山岳賞の中井唯晶(シマノレーシング)も、大会の山岳賞ポイントの設定が終わっているため、トラブルなくゴールすれば、山岳賞リーダーが確定する。
スタートラインに並ぶ4賞リーダー。レッドジャージの中井唯晶(シマノレーシング)とグリーンジャージのジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)、ブルージャージの寺田吉騎(シマノレーシング)、ホワイトジャージのニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)©️TOJ2024
ポイント賞の寺田吉騎(シマノレーシング)は次点のカルボーニと3点差、3位とは9点差であり、覆される可能性は十分に残っている。最終ステージのスプリントポイントは3回設定され、各回の1位通過には5ポイントが付与される。フィニッシュの優勝ポイントは25であり、寺田がリーダーを守るには、レース中のスプリントポイントと共に、レース自体も上位でフィニッシュする必要がある。
新人賞ジャージのニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)も、次点ザッカリー・マリッジ(チーム・ブリッジレーン)と25秒差であり、集団ゴールになった場合は問題ないが、展開によっては、逆転の可能性もあるだろう。
ゲストライダーのセレモニー走行後、レースが始まった。
フラッグが振られ、レースがリアルスタートを迎える©️TOJ2024
レースはいきなりハイペースの展開に©️TOJ2024
スタートは、一気にハイペースになり、長く伸びた集団が大井埠頭を駆け抜けていく。
逃げ出しをかけて多くの選手が飛び出したが、日本人の2枚のリーダージャージを守るべく、シマノレーシングが集団の先頭を固め、コントロールを行った。
寺田のポイント賞を守るため、シマノレーシングがレースをコントロール©️TOJ2024
寺田は期待に応え、着実にスプリントポイントを獲得していく©️TOJ2024
寺田は、1回目(4周目完了時)と、2回目(8周目完了時)のスプリントポイントをしっかりと1位通過。10ポイントを加算した。
10周目に入るころ、抜け出しが決まり、7名が先頭集団を形成し、先行した。
7名の先頭集団が形成された©️TOJ2024
集団内で走るヴィノクロフ©️TOJ2024
メイン集団の前方には、最終ステージでなんとしても勝利をもぎ取りたい愛三工業レーシングチームやJCLチーム右京らも加わりペースアップ。少しずつ、7名との差を詰めて行った。
※ラスト3周へ!大集団でのスプリント勝負を制したのは……
会場には多くの観客が足を運び声援を送った©️TOJ2024
ホビーカメラマンがベストショットを撮るべくコーナーに陣取る©️TOJ2024
メイン集団が迫り、ラスト3周に入る頃から、先頭集団の意思もまとまらなくなり、ばらけ始め、全員が吸収された。
集団はスプリント勝負に向けてペースアップ©️TOJ2024
大集団でのスプリントになる可能性が濃厚となり、各チームの位置取りの動きが本格化する。
最終周回に森田叶夢(京都産業大学)が単独で飛び出すが、吸収され、レースはスプリント勝負に持ち込まれた。
森田叶夢(京都産業大学)が集団から飛び出し、単独で先頭を走る©️TOJ2024
最終コーナーを立ち上がり、日本ナショナルチームや愛三工業レーシングチームらを先頭にフィニッシュに迫る。
そのままスプリンターたちが解き放たれ、スプリントが展開される。リース・ブリットン(セント・パイラン)や先行するが、岡本隼(愛三工業レーシングチーム)や窪木一茂(日本ナショナルチーム)が加速、さらにその背後から伸びてきたマッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京)が、フィニッシュラインに押し込み、わずかに先行、第2ステージ・京都に続き、今大会2勝目を挙げた。2位にブリットン、3位に岡本が入っている。
マッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京)が接戦のスプリントを制し、2勝目を上げた。チームメイトの区間優勝を確信し、自身の総合優勝を決めたカルボーニが喜びのガッツポーズ©️TOJ2024
寺田はこの大スプリントの中で、9位でフィニッシュ、7ポイントを積み増して、見事ポイント賞ジャージを守り切った。ヴィノクロフも、新人賞ジャージを確定させている。
カルボーニは安全に集団内でフィニッシュ。寺田のために走った中井も、チームメイトらとフィニッシュし、それぞれのリーダーを確定させている。
ステージ優勝を決めたカルボーニ©️TOJ2024
マルチェッリは、「今日のために、昨日少しエネルギーを貯めておいた」と言う。「第2ステージで勝ち、また最終ステージも勝利を決め、(チーム)4勝し、個人総合も決めることができ、とてもハッピーだ」と、満足した表情で喜びを語っていた。
個人総合優勝のカルボーニ、2位のクドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム)、3位のベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)©️TOJ2024
チーム総合優勝のチーム・ブリッジレーン©️TOJ2024
JCLチーム右京が、カルボーニの総合優勝とともに、ステージ4勝を上げ、強さを見せる結果になった。
チームで2枚のジャージを守り、ほっとした笑顔を見せる中井と寺田©️TOJ2024
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【結果】
ツアー・オブ・ジャパン2024
第8ステージ 東京(104km)
1位/マッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京)2時間14分11秒
2位/リース・ブリットン(セント・パイラン)+0秒
3位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
4位/窪木一茂(日本ナショナルチーム)
5位/レイモンド・クレダー(キナンレーシングチーム)
【個人総合時間賞(グリーンジャージ)】
1位/ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)18時間55分45秒
2位/クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム)+2分6秒
3位/ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)+2分12秒
【個人総合ポイント賞(ブルージャージ)】
1位/寺田吉騎(シマノレーシング)82p
【個人総合山岳賞(レッドジャージ)】
1位/中井唯晶(シマノレーシング)32p
【個人総合新人賞(ホワイトジャージ)】
1位/ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)
【チーム総合成績】
1位/チーム・ブリッジレーン 57時間0分53秒
**画像提供:ツアー・オブ・ジャパン2024 ©️TOJ2024
トップ掲載写真:晴天の大井埠頭で開催された「東京ステージ」©️TOJ2024**
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ツアー・オブ・ジャパン2024レポート
第1ステージ「堺ステージ」
第2ステージ「京都ステージ」
第3ステージ「いなべステージ」
第4ステージ「美濃ステージ」
第5ステージ「信州飯田ステージ」
第6ステージ「富士山ステージ」
第7ステージ「相模原ステージ」(P-Navi編集部)