ツアー・オブ・ジャパン2024美濃ステージ

2024/06/28(金) 16:56

ツアー・オブ・ジャパン2024美濃ステージ

国際ステージレース「ツアー・オブ・ジャパン2024」4日目の「美濃ステージ」が5月22日、岐阜県美濃市で開催された。

江戸時代初期に築かれ、地域豊かな意匠や造形をもった建造物が多く残り、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている「うだつの上がる町並み」からパレード走行がスタートするクラシックな風情が漂うステージだ。
舞台となるのは全長21kmの「美濃和紙の里会館前周回コース」。スタート後は下り基調であるが、山岳賞ポイントまで一気に駆け上がり、
高速で降り、テクニカルな直角コーナーを抜けてフィニッシュへ向かう。登坂力が問われるステージが多い中、スプリンターたちにも勝機のあるコース。レースは、このコースを6周回する総走行距離137.3kmで競われる。



21kmの美濃和紙の里会館前周回コース。大会の他のステージと比べると登坂がゆるく、スピードレースになることも

歴史的景観の中、スタートラインに選手たちがラインナップ。先頭に並ぶのは、個人総合首位を守るグリーンジャージのジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)、山岳賞のレッドジャージの中井唯晶(シマノレーシング)、U23首位のホワイトジャージのザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン)、ポイント賞の首位がカルボーニであるため、繰り上げでブルージャージを着用したマッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京)だ。


リーダージャージのメンバーを最前列にラインナップ©️TOJ2024


積極的な動きはあるものの、逃げが決まらない©️TOJ2024

スタート後も抜け出しを狙う動きはあるものの、決まらないまま1周目完了時の中間スプリントポイントを迎えた。
モチベーション高く飛び出した寺田吉騎(シマノレーシング)が先頭通過し、ポイントとボーナスタイムを獲得した。


地元の子供達の声援を受けながら走る©️TOJ2024

2周目に設定された山岳ポイントは山岳賞ジャージを守りたい中井唯晶(シマノレーシング)と、モハマド・ヌル・ アイマン・モフド・ザリフ(トレンガヌサイクリングチーム)、ジョシュア・ラドマン(セント パイラン)、山本哲央(日本ナショナルチーム)の4名の争いに。中井が山岳リーダーの意地を見せ、先頭通過し、ポイントを積み増した。


山岳賞ジャージを着る中井唯晶(シマノレーシング)が山岳賞をトップ通過©️TOJ2024


美しい自然の中を走る©️TOJ2024

抜け出したこの4名は、そのまま逃げグループを形成した。メイン集団はリーダーを擁するJCLチーム右京がコントロールを担う。


集団はJCLチーム右京がコントロール©️TOJ2024

2回目のスプリントポイントでは、逃げ集団の中から、中井が先頭通過を果たした。2回目の山岳ポイントも、中井が先頭で通過し、山岳賞首位の位置を、さらに確固たるものにして見せた。


駆け抜ける選手たちを見守る鳥居©️TOJ2024

このまま5周目完了時のスプリントポイントを迎え、ここではラドマンが先頭で通過し最終周回へ。先頭とメイン集団とのタイム差は、まだ2分程度まで開いていた。


集団と先頭との差は思うように縮まらない©️TOJ2024

先頭から中井とザリフが遅れ、最終周回では山本とラドマンの2名に絞り込まれた。メイン集団はペースアップを図るが、差は思うように縮まらず、最終周回の中盤でも1分30秒ほどの差を残したまま。先頭の逃げ切りがほぼ確実となった。


2名が遅れ、先頭はジョシュア・ラドマン(セント パイラン)と山本哲央(日本ナショナルチーム)の2名になった©️TOJ2024

山本が先行し、ラドマンがぴたりと後ろにつけたまま、ラスト1kmを通過。ラスト300mを切ったところでラドマンが背後からスプリントを仕掛け、一気に加速。山本も食らいつこうとするが、及ばず、弱冠19歳のラドマンが振り切ってステージ優勝を決めた。カルボーニは集団内でフィニッシュし、グリーンジャージを守った。


山本を振り切りフィニッシュし、勝利を飾ったラドマン©️TOJ2024

ラドマンは「総合上位の選手が逃げグループにいないので、逃げ切りのチャンスがあると思っていた。」と語った。逃げ切りを確信したのは「最後の数分」だと言う。「日本は伝統的に強いスプリンターがいるので最後は不安になったが、上りでは僕の方が、脚があった(脚力が残っていた)ので、最後のスプリントも⻑距離で仕掛けた」と最後のスプリントを振り返った。「将来は逃げのスペシャリスト、クラシックライダーになりたい」と未来への展望を語っていた。


笑顔で表彰台に立つラドマン©️TOJ2024

ステージ5位でフィニッシュした寺田が、スプリントポイント首位通過に加え、フィニッシュポイントも獲得し、新たにブルージャージを獲得した。翌日は「アップダウンしかない」と言われる難関山岳コースである「綿半 信州飯田ステージ」が待ち受ける。

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【結果】
ツアー・オブ・ジャパン
第4ステージ美濃(137.3km)

1位/ジョシュア・ラドマン(セント・パイラン)3時間6分21秒
2位/山本哲央(日本ナショナルチーム)+0秒
3位/窪木一茂(日本ナショナルチーム)+29秒
4位/リース・ブリットン(セントパイラン)
5位/寺田吉騎(シマノレーシング)

個人総合時間賞(グリーンジャージ)第4ステージ終了時
1位/ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)9時間1分59秒
2位/アナトリー・ブディアク(トレンガヌ・サイクリングチーム)+15秒
3位/カーター・ベトルス(ルージャイ・インシュランス)+18秒

個人総合ポイント賞(ブルージャージ)第4ステージ終了時
1位/寺田吉騎(シマノレーシング)45p

個人総合山岳賞(レッドジャージ)第4ステージ終了時
1位/中井唯晶(シマノレーシング) 25p

個人総合新人賞(ホワイトジャージ)
1位/ ザッカリー・マリッジ (チームブリッジレーン)

チーム総合成績 第4ステージ終了時
1位/JCLチーム右京 27時間9分47秒

画像提供:ツアー・オブ・ジャパン2024©️TOJ2024

※トップ写真「うだつの上がる町並み」からスタートする「美濃ステージ」©️TOJ2024

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ツアー・オブ・ジャパン2024レポート
第1ステージ「堺ステージ」
第2ステージ「京都ステージ」
第3ステージ「いなべステージ」(P-Navi編集部)

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