2023/09/30(土) 11:05
新潟県南魚沼市の特設コースでJBCFロードシリーズの最高峰リーグであるJプロツアーの第12戦「第3回南魚沼クリテリウム」が9月16日、開催された。前戦「石川サイクルロードレース」以降、約2ヶ月のインターバルを挟んでの開催だ。翌日も南魚沼市でレースが予定されており、連戦となる。
1周1.24kmのシンプルなコース
レースは、新潟県南魚沼市のJR六日町駅に近い公道に設定された1周1.24kmの周回コースを使用して行われる。4つのコーナーと、4本のストレートが、市内を流れる魚野川を囲うようにレイアウトされた平坦なコースだ。このコースを40周する、49.6kmの設定となり、ハイスピードな展開となることが予想された。
スタート前に声援に応えながら各チームがパレード走行でコースを1周
9月も中旬に差し掛かったものの、この日、新潟市の気温は37度を超え、国内最高気温をマークした。南魚沼でも朝からぐんぐん気温が上がり、非常に厳しい条件下のレースとなった。レースのスタート時刻は10時40分。スタートラインに選手が集まってくる。個人総合首位を守り、リーダージャージを着るのは中井唯晶(シマノレーシング)。U23のリーダーは、岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)が守っている。個人総合上位勢は、僅差で選手たちがひしめき合っており、この週末で大きく順位が入れ回る可能性もある。終盤へ向けての動きを占う上で、このレースはとても重要なレースになるだろう。
レースがスタート。1周半のローリング走行ののち、リアルスタートとなる
約1周半のパレード走行を経て、レースはリアルスタートを迎えた。序盤から激しいレースが展開された。
スピードが上がり、長く伸びた集団が、六日町の商店街を駆け抜ける
リーダージャージの中井唯晶(シマノレーシング)は集団前方で走る
コースは魚野川を1周に2度渡る。午前中から気温は35度を超えていた
7周目に入る頃、3名が先行する。メンバーは、石上優大(愛三工業レーシングチーム)、石原悠希(シマノレーシング)、ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム)。力のある中堅どころの動きに、緊張が走る。
10周目に入ると、さらにライアン・カバナ(キナンレーシングチーム)と大河内将泰(シエルブルー鹿屋)が先頭の3名に合流した。キナンレーシングチームは、有力選手を2名送り込み、有利な展開に持ち込んだ。
ハイペースを刻み続ける集団から大河内が遅れてしまい、集団は4名に。
4名の先頭集団が形成された。力のあるメンバーだ
メイン集団はペースを上げるチームがなく、差が広がって行った
4名と後続の集団との差は30秒まで開く。シマノレーシング、愛三工業レーシングチームは戦えるメンバーを送り込んでおり、集団を引き上げるモチベーションはない。
先行する4名と集団との差はじわじわと開いていく。レース後半にはその差は1分以上となり、およそ半周差まで広がった。
広がりゆく差に危機感を持ったチームブリヂストンサイクリングが集団の先頭に集まり牽引を始めた
先頭で好ペースをキープする4名と後続との差は最大で1分以上まで開いた
ここに誰も送り込めなかったチームブリヂストンサイクリングが中盤から後続集団を牽引するが、思惑が合致し、協力チームがおらず、差を埋めることはできなかった。
先頭に勝ちを狙う2名を送り込むキナンレーシングチームが、集団にふたをするように押さえ込む
メイン集団は、それぞれ思惑が異なるチームごとに固まり、六日町の商店街を抜けていく
この南魚沼クリテリウムを2連覇している愛三工業レーシングチームがペースアップを図り始めると、メイン集団からは、この動きに付いて行かれず遅れる選手が続出し、半分まで絞られてしまった。先行する4名に届く動きを仕掛けることはできなかった。
レース終盤、3連覇を狙う愛三工業レーシングチームが懸命に後続集団を引き上げる
この時点で、先頭4名の逃げ切りは、ほぼ確定、選手間の意識はゴールへの駆け引きへと切り替わる。残り5周を切ったころから、協調体制が崩れ始めた。
2名を残すキナン勢から、モレとカバナが交互にアタック、石上と石原を揺さぶる。石上は一度遅れたものの、最終周回を前に再度追いつき、勝負は4名でのスプリントへ持ち越された。
ホームストレートに先頭で姿を表したのは、石原だった。数的不利をひっくり返す素晴らしい走りで、後方を確認しながら悠々とフィニッシュ。石原にとっては、2020年以来3年ぶりのJプロツアー優勝となり。シマノレーシングに今季2勝目をもたらすことになった。
トップでフィニッシュに飛び込んだのは、石原悠希(シマノレーシング)
2位にモレ、3位にカバナが入っている。
優勝した石原、2位のドリュー・モレ、3位のライアン・カバナ(以上キナンレーシングチーム)の表彰
リーダーを守った中井唯晶と、U23のリーダーを守った岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)
リーダーは中井が守り、シマノレーシングとしては、ダブルで嬉しい結果となった。U23リーダーも岡本が守っている。
石原は「逃げ切る(くらいの)つもりで、全力で行ったものの、逃げ切れると思ってはいなかったのだが、後ろが離れて行った」と、この日の展開を振り返る。「終盤は、キナンの2名がとても強く、なんとか対応しながら、持ちこたえて、ゴールスプリントに持ち込み、優勝することができた。2020年以来の勝利で、とても嬉しい」と喜びを語っていた。
翌日に控える南魚沼ロードレースは「経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」としても開催される年間のリーグ内の最重要レース。最高位の格付けで、勝者に与えられるポイントも大きい。クリテリウムの結果を踏まえ、各チームがどのような準備をして臨むのか。大逆転の可能性もあるリーダーの行方に、さらなる注目が集まった。
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【結果】
第3回南魚沼クリテリウム(49.6km)
1位/石原悠希(シマノレーシング)1時間6分2秒
2位/ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム)+0秒
3位/ライアン・カバナ(キナンレーシングチーム)+1秒
4位/石上優大(愛三工業レーシングチーム)+4秒
5位/岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)+20秒
【Jプロツアーリーダー】
中井唯晶(シマノレーシング)
【U23リーダー】
岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)
画像:JBCF 一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟
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