2023/08/04(金) 18:01
JBCFロードシリーズでは、福島県石川町で、最上位リーグのJプロツアーの第10戦として、「第3回石川クリテリウム」が7月15日に開催された。この翌日も福島県内でロードレースが企画されており、恒例の夏の福島連戦が始まった。このレースは、校舎を改築した文教福祉複合施設「モトガッコ」をスタート・ゴールとした1.8kmの周回コースを用いる。
オールフラットの1.8kmコース。短いため、コーナーの出現間隔が短く、選手が消耗されていくテクニカルなコースだ
コースは完全に平坦で、スピードレースとなるが、コーナーも多く含んでいる。コースが1.8kmと短いため、設定された6つの直角カーブが頻繁に現れることとなり、その度に選手たちは減速とクイックな加速を強いられ、消耗されていくことになる。神経も使うテクニカルなコースで、走り方や位置取りも重要になるだろう。Jプロツアーのレースはこのコースを25周する45kmの設定で競われる。
朝から降り続いていた雨が止み、午後には路面も乾きはじめた。
個人総合首位の岡本隼(愛三工業レーシングチーム)は、このレースも欠場となり、U23の首位である岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)のみがリーダージャージで先頭に並んだ。
観客に見送られ、午後1時15分にスタート。早々に昨年優勝したチームブリヂストンサイクリングが主導してペースアップを試みる。ショートレースであり、前方を確保ておきたい思惑があるのだろう。
一斉にスタート
連覇を狙うチームブリヂストンサイクリングが序盤からレースをコントロール
この動きにより序盤から集団は大きく二つに割れ、チームブリヂストンサイクリング、シマノレーシング、キナンレーシングチームの3チームが4名以上を前方の集団に送り込み、有力チームが早速有利な展開に持ち込んだ。
分裂した後方の集団は徐々に引き離され、レース中盤までに差は1分まで開いてしまう。このショートサーキットでは、致命的なタイム差だ。有力者を多く含む前方の集団は、ハイペースを刻み続ける。この集団からも、堪えられなくなった選手たちが少しずつこぼれ落ちていった。ラスト10周を迎える頃には、集団は13名に絞り込まれていた。
ハイペースの集団から選手が次々脱落し、13名に絞り込まれた
もっとも多くのメンバーを含んでいたシマノレーシングが動き始め、波状攻撃を仕掛ける。17周目、先頭集団から飛び出した香山飛龍(シマノレーシング)が先行を試みる。集団は容認し、香山は単独ながらも好ペースを刻み、7周に渡って独走した。
香山飛龍(シマノレーシング)がキレのあるアタックで集団から飛び出し、独走態勢に入った
ポイントレースのアジアチャンピオン兒島直樹などスピードマンを多く揃えるチームブリヂストンサイクリングが先頭をコントロール
この間にも、集団はゴールへの準備を進めていた。スピードマンを多く抱え、スプリント勝負に持ち込みたいチームブリヂストンサイクリングが先頭集団の前方を固め、ペースをコントロール。残り2周で香山を吸収し、本格的なゴール勝負態勢に入った。
ペースアップし、数秒差に香山を据え、吸収のタイミングを見計らいながら先頭集団をコントロールするチームブリヂストンサイクリング
最終周回に入ると、チームブリヂストンサイクリングがさらにペースアップ。疲弊した選手たちをふるい落とし、先頭のメンバーを一気に6名まで絞り込む。
先行していた香山に集団が迫る
最終コーナーをクリアして残り100m、ポイントレースのアジアチャンピオン兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)が牽引してきた岡本勝哉が先頭でスプリントを開始。ここまで食らいついてきたスプリンターの孫崎大樹(キナンレーシングチーム)が岡本を追ったが、及ばず、岡本が先着。今シーズン2勝目を上げた。チームブリヂストンサイクリン
グは石川クリテリウム連覇を達成した。
スプリントを開始した岡本を見守る兒島
岡本は他の選手を寄せ付けぬまま先行、連覇を達成した
岡本は、この優勝でポイントを積み増し、新たにJプロツアーリーダーも獲得した。プロリーダーとU23リーダーの二つを手に入れたことになる。
岡本は、「このコースであれば、チームブリヂストンサイクリングが先頭にいて踏んでいれば(しっかりとペースを保っていれば)逃げは潰せるとわかっていたので、常に選手を泳がせていた」と自信をのぞかせた。同姓の岡本隼(愛三工業レーシングチーム)からプロリーダーを奪取し「同じ『岡本』として少し上に立てたのは嬉しい」とユーモア交えて喜びを語った。
表彰台に立った岡本、孫崎大樹、津田悠義(キナンレーシングチーム)
個人総合で首位に立った岡本勝哉
この翌日は、石川ロードレースが行われ、前レースまで首位にいた岡本隼を擁する愛三工業レーシングチームはリーグ戦への欠場が続いており、翌日のレースも欠場。上位勢の選手間のポイント差は大きくないため、今後も入れ替えが続くことが予想された。
石川ロードレースは、完全平坦だったクリテリウムとは異なり、起伏のあるコースを用いてのレースとなるだけに、動向に注目が集まったた__。
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【結果】
第3回石川クリテリウム(45km)
1位/岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)1時間1分24秒
2位/孫崎大樹(キナンレーシングチーム)+0秒
3位/津田悠義(キナンレーシングチーム)+1秒
4位/石原悠希(シマノレーシング)+1秒
5位/中井唯晶(シマノレーシング)+2秒
※兒島は3位でフィニッシュしたが、スプリント中に自身の走行ラインを維持しなかったため、リザルトでは降格処分となった
画像提供:JBCF 一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟
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