2023/07/12(水) 13:14
JBCFロードシリーズの最高峰、Jプロツアーの第9戦「群馬CSCロード6月大会DAY1」が、6月10日に群馬サイクルスポーツセンター(以降CSC)で開催された。UCI(世界自転車競技連合)認定の国際レースが続いた影響で、Jプロツアーの開催がいったんストップしており、6月4日にE1カテゴリーとの混走で第8戦が開催されたものの、純粋なJプロツアーとしては約1カ月半ぶりのレースとなる。
2週間後に全日本選手権を控え、調整に入っているチームもあり、出走した選手は58名のみと少なかった。
群馬CSCのコースは、サイクルロードレースによく用いられているが、今年度のJプロツアーでは初めて、正周りで用いられる。このレースは、コースを20周する120kmの設定で競われる。
今回は群馬CSCのコースを正回りで用いる。「心臓破りの坂」など、仕掛けどころがあり、逆回りよりメリハリのあるコースプロフィールとなる(マップは大会サイトより)
個人総合で首位を走り、リーダージャージを着る岡本隼(愛三工業レーシングチーム)と、U23リーダーの岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)が欠場し、リーダー不在のレースとなった。
58名と少数ながら選手たちが一斉にスタート。リーダー不在のレースとなった
シマノレーシングを先頭にスタートしたレースは序盤から大きな動きを見せる。
集団はスタート直後から積極的な動きが続き、長く伸びる
数名が飛び出し、これをきっかけに4周目までに13名の先頭集団が形成され、後続との差を徐々に広げていった。
金子宗平(群馬グリフィン)のアタックをきっかけに数名が集団から飛び出した
メンバーは、過去に何度もJプロツアーで総合優勝を飾ってきたホセ・ビセンテ・トリビオ、昨年の勝者 小林海、安原大喜(以上マトリックスパワータグ)、全日本タイトルを持ち、今季もことごとく重要な動きには名を連ねる入部正太朗、近年力をつけている中井唯晶、シクロクロスの全日本タイトルを持つ横山航太、石原悠希(以上シマノレーシング)、内田宇海(弱虫ペダルサイクリングチーム)、地元群馬の金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)、河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)、冨尾大地(シエルブルー鹿屋)、アリア・キアニ(稲城FIETS クラスアクト)、米谷隆志(ベルマーレレヒーシングチーム)と、主要チームのメンバーが一通り入った顔ぶれだった。4周目にして、すでに決定的な動きが決まったとも言える空気が漂う。
この動きをきっかけに13名の先頭集団が形成された
ここに入れなかった「超べテラン」のフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)らが追走集団を形成する場面もあったが、成立せず、その後は先頭集団に合流する動きは生まれなかった。
足並みが揃わず、うまくペースアップができない後続のメイン集団
レース中盤には、先頭とメイン集団との差は、2分20秒まで開いた。
主要チームがメンバーを送り込んでいたことで、組織として追走するようなチームは存在しておらず、この差が狭まる可能性は少ないように思われた。先頭13名の逃げ切りが現実的となり、13名の中に、ここからどう展開するかという算段が始まった。
順調に周回をこなす先頭集団。逃げ切りの可能性が出てきた
圧倒的に有利なのは、それぞれ4名、3名を送り込んだシマノレーシングとマトリックスパワータグ。両チームは、人数だけでなく、勝負に強い面子が揃っている。単騎で集団に入っているメンバーは、このままゴールまで行ってしまったら、勝機はないだろう。
終盤に入ると、さっそく動きが生まれた。先頭集団から金子が飛び出したのだ。ここに反応した小林、内田、横山、中井ら5名が先行し、新たな先頭集団を作った。順調に周回を回るこの5名に優勝者の行方は絞り込まれたと言えるだろう。シマノレーシングはここに2名を送り込み、引き続き有利な展開に持ち込んでいた。
先頭集団を飛び出し、小林海(マトリックスパワータグ)らが集団を作る。2名を送り込んだシマノレーシングが有利な展開に
残り3周となる18周目、さらに次の動きが起こる。金子が地元の意地を見せ、上り区間でアタックし、他の4名を振り切ったのだ。
上り区間で金子がアタック。全日本王者のスピードには誰もついて行かれなかった
金子は独走で19周目に入った。2022年の全日本タイムトライアルチャンピオンであり、近年は登坂の強さも身に付け、圧倒的なフィジカルを誇る金子は、ハイペースを保ち、そのまま追走を寄せ付けなかった。
金子は、先頭を一人ひた走り、フィニッシュまで逃げ切って、優勝。ガッツポーズが得意でないという金子だが、このフィニッシュラインでは、しっかりと両手を挙げて見せた。2022年の「かすみがうらタイムトライアル」以来となるJプロツアーでの2勝目、ロードレースとしては初勝利を挙げた。
金子が堂々の優勝。ロードレースとしてはJプロツアー初優勝となる
2位、3位には追い上げた中井と小林が入っている。
レース後、金子は「最近のレースで上位は経験していたが、地元の群馬で優勝できて、とても嬉しい」と笑顔を見せ、応援してくれた地元ファンへの感謝を語った。次の照準は、開催が迫った全日本タイムトライアル選手権だという。はにかんだ笑顔で、意気込みを語っていた。
上位3名の表彰台。金子は、独走から2位、3位に35秒の差をつけての優勝だった
個人総合ランキングでは、中井が400ポイントを獲得し、3位に順位を上げたが、首位の岡本隼にはまだ届かず、U23首位の岡本勝哉もリーダーを守っている。この翌日に予定されていた「群馬CSCロード6月大会DAY2」は悪天候を受け、キャンセルとなり、次戦は7月15日の石川クリテリウムに持ち越された。全日本選手権を終え、後半戦に入った選手たちがどう戦うのか、注目したい。
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【結果】
群馬CSCロード6月大会DAY1(120km)
1位/金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)2時間51分8秒
2位/中井唯晶(シマノレーシング)+35秒
3位/小林 海(マトリックスパワータグ)
4位/内田宇海(弱虫ペダルサイクリングチーム)+38秒
5位/横山航太(シマノレーシング)+2分10秒
【Jプロツアーリーダー】
岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
【U23リーダー】
岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)
画像提供:JBCF 一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟
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