2023/08/08(火) 11:36
Jプロツアー福島連戦の2日目は7月16日、福島県石川町で開かれた「第21回石川サイクルロードレース」。21回目の開催となる伝統的なレースで、7月の風物詩ともされている。
コースは、地域の里山環境を生かして設定され、登りと下りが繰り返されるハードなプロフィール。13.6kmのコースを9周する122.4kmの設定で競われた。この日は、朝から晴天となり、気温が上昇し、真夏の環境下での開催となり、非常にタフなレースとなった。
石川町の里山を生かし、設計されたコースは、アップダウンが繰り返されるハードなもの
前日のレースでリーダーとなった岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)を先頭に選手がラインナップ。スタートの時点で、すでに暑さは厳しい状況になっていた。
酷暑に備え、暑さ対策をして号砲を待つ
プロリーダージャージ姿の岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)を先頭にスタート
このタフな状況を見越してか、レースは、序盤から動きを見せる。キナンレーシングチーム、シマノレーシングなど主要チームのメンバーが乗る22名の集団が先行したのだ。有力選手が入る集団は、いきなりハイペースに持ち込み、2周完了時までに後続集団との差は1分まで広がった。
トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)を先頭に走る22名の集団
後続集団とは、差がじわじわ開いていった
厳しいアップダウンコースながら、先頭集団はハイペースを刻み続け、両者の差は拡大し、レース半ばの5周完了時には2分近くまで開く。両者のペースの差から、先頭集団の逃げ切りは、ほぼ確実になった。
6周目に入ると、先頭集団からも動きが生まれる。昨年の大会で優勝しているキナンレーシングチームは、今年も連覇を狙い、昨年3位表彰台に立っているトマ・ルバや、新城雄大、山本元喜(以上 キナンレーシングチーム)らがペースアップを図り、揺さぶりをかけ始めた。過酷な条件に持ち込んで、人数を絞る作戦だ。
ペースアップを始めた先頭集団。堪えきれない選手がこぼれ落ちていく
このふるい落としの結果、7周目までに残ったのは、ルバ、新城、山本、津田悠義(以上、キナンレーシングチーム)に加え、石原悠希、風間翔眞(以上シマノレーシング)の6名のみだった。
ペースアップで6名に絞り込まれた先頭集団の選手
4対2と、人数で上回り、さらに強者揃いのキナンレーシングチーム勢が次々とアタックをしかけ、シマノレーシングの2名を追い込んで行く。
7周目に風間が、8周目に石原が遅れ、ついに最終周回を丸々残す中で、先頭はキナンレーシングチームのメンバーのみになってしまった。
数的に有利なキナンレーシングチームの選手たちが攻撃を仕掛ける
波状攻撃をしかけるキナンレーシングチームに挑む石原悠希(シマノレーシング)
最終周回に入ると、ルバ、新城、津田の3名が揃って走行。
先行する津田悠義と新城雄大、トマ・ルバ(以上、キナンレーシングチーム)
最終周回を3名で走り、最年少であり、先日までU23のリーダーであった津田を先頭にフィニッシュラインを越え、キナンレーシングチームは上位を独占するフィニッシュを飾った。
津田を先頭に新城、トマが入り、ワン・ツー・スリーフィニッシュを決めた
津田は「ミーティングで、きついレースにしていきたいと話していた」と振り返る。自分が先行したことに関しては「今日特に強かった新城さんやトマさんに勝ってもらいたかったが、助けてもらう形になった」と恐縮していた。「キナンレーシングチームらしい走りができ、ワンツースリーで終え、嬉しい」と喜びを語った。
表彰台を確保した津田、新城、トマ。キナンレーシングチームが独占する完全勝利となった
この日のレースは、出走84名中、完走は16名のみ。今年も完走率2割未満のサバイバルレースとなった。
このあと、中井唯晶(シマノレーシング)が4位でフィニッシュ。この日12位で終えた岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)を合計ポイントで上回って総合首位となり、プロリーダージャージを獲得した。
この日のポイントでプロリーダージャージを獲得した中井唯晶(シマノレーシング)。岡本はU23のリーダーを守った
このレースをもって、Jプロツアーの前半戦は終了。首位となった中井と次点の岡本のポイント差はわずか31ポイント。3位の津田と岡本の差も130ポイント。この日のレースの優勝ポイントは500ポイントであり、容易に上位順位は入れ替わるだろう。後半戦はどのような戦いが展開されるだろうか__。
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【結果】
第21回石川サイクルロードレース(122.4km)
1位/津田悠義(キナンレーシングチーム)3時間9分8秒
2位/新城雄大(キナンレーシングチーム)+0秒
3位/トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)+0秒
4位/中井唯晶(シマノレーシング)+2分28秒
5位/風間翔眞(シマノレーシング)+2分29秒
【Jプロツアーリーダー】
中井唯晶(シマノレーシング)
【U23リーダー】
岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)
画像:JBCF 一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟
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