2023/03/22(水) 17:49
鹿児島県志布志港に面する「しおかぜ公園」前をスタートフィニッシュとする公道コースを使用し「第一回志布志クリテリウム」が2月25日、開催された。JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)が主催する「JBCFサイクルロードシリーズ」の最高峰リーグ「Jプロツアー」の第2戦としての位置付けだ。前日には「鹿屋・肝付ロードレース」が開催されており、初開催レースの鹿児島2連戦となった。
使用するのは「しおかぜ公園」前をスタートゴールとし、志布志港にせりだした「コンテナターミナル」上に設営された1周2.9kmのコース。アルファベットの「L」型になっており、両端に折り返しのヘアピンカーブが設定され、コース中程に直角のコーナーが含まれている。起伏はなくフラットで、道幅も一定しており、この日は特別な強風もなし。高速レースとなり、スプリンターたちが活躍する展開となることが予想された。
L字型に設定された平坦基調のコースを使用する(出典:JBCF大会要項より)
スタート時刻が近づくと、選手がスタートラインに集まってくる。先頭に並ぶのは前日のレースを見事なスプリントで制した岡本隼(愛三工業レーシングチーム)。個人総合首位選手の証である赤い「プロリーダージャージ」を着ての参戦だ。横には、U23で首位になった白いリーダージャージ姿の津田悠義(キナンレーシングチーム)が並ぶ。レースはコースを17周する49.3kmの設定で競われる。
先頭には赤いリーダージャージの岡本隼(愛三工業レーシングチーム)と白いリーダージャージ姿の津田悠義(キナンレーシングチーム)が並んだ。下平志布志市長とともに
いっせいにスタート。短い距離の設定となったこともあり、冒頭から積極的な動きが相次ぎ、序盤から予想通り高速の展開となる。
しおかぜ公園前をスタートしていく
設定されたスプリントポイント獲得を狙う動きで、スピードが上がるものの、ポイント獲得後は集団に吸収され、抜け出しは生じなかった。抜け出しを狙う選手も、ほどなく集団に吸収され、大きな変化は生じず、大集団がハイスピードでサーキットを駆け抜け続ける展開に。
大集団のまま折り返しのヘアピンコーナーを回る
状況が変わったのは総距離の3分の1ほどになる6周目。トップスピードを維持するのに長けたトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)と中井唯晶(シマノレーシング)の2名が集団から抜け出し、先行したのだ。ここに當原隼人(愛三工業レーシングチーム)、石原悠希(シマノレーシング)、宮崎泰史(キナンレーシングチーム)らが合流し、7名の集団が形成された。
7名の先頭集団が形成された
2回目のスプリント賞は集団内の石原が獲得している。
集団はリーダーチームとなる愛三工業レーシングチームがコントロール
シマノレーシング、キナンレーシングチームは、ここに2名ずつを送り込み、有利な展開に。リーダーの岡本を擁する愛三工業レーシングチームは、誰も送り込むことができず、メイン集団の先頭を固め、コントロールする意思を示した。先頭との差は、30秒ほどでキープ。見通しのよいコースで、メイン集団から、先頭7名の状況が常に視界に入る形で推移する。
3回目のスプリント賞は先頭集団内の伊藤舜紀(シエルブルー鹿屋)が獲得した。
地元チームであるシエルブルー鹿屋らも集団のコントロールに加わる
リーダーの岡本はゴール勝負に向け、集団内の安全な位置で温存されている
終盤に向け、この日も岡本のスプリント勝負に持ち込みたい愛三工業レーシングチームがペースアップ。先頭集団との差は、じわじわと狭まっていった。
逃げ続ける意思を示し、最後まで粘った先頭7名
徐々に先頭との差を詰めるメイン集団。前方には、ゴール勝負を担うメンバーを連れ、チームごとに有力チームが固まり始める
ペースアップし、長く伸びた集団が晴天の下を走る
最終周回に入る直前、先行していた7名が吸収され、レースは一つの集団に戻った。
先頭7名を吸収し、先頭争いが始まる
ゴール勝負に向け、シエルブルー鹿屋、シマノレーシング、キナンレーシングチームなどが集団前方にそれぞれ集まり、位置取り合戦を始めた。ラスト400mの最終コーナーを最初にクリアしたのは、愛三工業レーシングチーム。スプリンター岡本隼を従え、先頭を走る。
牽引から解き放たれた岡本が渾身のスプリントを爆発させる
最終牽引役の草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)の後方から岡本が放たれ、パワフルに加速、スプリント態勢に入った。この爆発的なスプリントに太刀打ちできるものはおらず、そのままトップでフィニッシュ。前日の鹿屋・肝付ロードレースに続き2連勝を決めた。
圧倒的なスプリントで連勝を決めた岡本
シャイな岡本も、連勝という最高の結果に、はにかんだ笑顔を浮かべた。前日と同じ展開に持ち込ませまいとするライバルチームをどう抑えるかというところが課題になったようだ。「その中でも、うまくまとめてスプリントに持ち込めて、最後決められた(勝てた)ことがすごく嬉しい」と、顔をほころばせる。「前日、チーム一丸となって得た勝利が、メンバーにとって、よい自信になった」とレースを振り返る。最後まで、草場選手とともに、脚力を使わず温存し、満を持して臨んだスプリントだったという。
2位には岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)が、3位には津田悠義(キナンレーシングチーム)が入った。
連勝した岡本は2位の岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)、3位の津田とともに表彰台で笑顔を見せた
プロリーダージャージ、U23のリーダージャージ、ともに岡本、津田がキープしている。
リーダーを守った岡本と津田
次のレースは3月末の袋井・掛川ロードレースだ。エコパスタジアムを使った初開催となるレースであり、どのようなレースが展開されるのか、岡本はリーダーを守れるのか、注目したい。
***************
【結果】
第1回志布志クリテリウム 49.3km
1位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム)1時間5分55秒
2位/岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)+0秒
3位/津田悠義(キナンレーシングチーム)+0秒
4位/河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)+0秒
5位/横山航太(シマノレーシング)+0秒
【Jプロツアーリーダー】
岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
【U23リーダー】
津田悠義(キナンレーシングチーム)
画像提供:JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)
***************
【Jプロツアー2023・レポート】
Jプロツアー開幕戦!鹿屋・肝付ロードレース(P-Navi編集部)