2019/07/21 (日) 19:56
みなさん、こんにちは!奈良競輪場へ向かう新幹線の中で原稿を書いています。奈良競輪場で今月2回目となるニコニコ生放送『チャリチャン@チャリロト』の放送があるからです。
ここ数年、奈良競輪場で放送をするときは場内のチャリロトプラザから公開放送を行なっています。ご存知の方も多いと思いますが、このチャリロトプラザではその日に開催している全ての競輪場の車券を購入することができるのです。はい、競輪ファンにとっては嬉しいこと……嬉しいことなんですけれども、ぶっちゃけて言っちゃうと、もはやありがた迷惑の域です(笑)。
なぜなら競輪狂と言われる類のファンはレースの存在を知ってしまうと、どうしたって出走表(全場の出走表がチャリロトプラザに用意されているという罪深さ)を見てしまいます。そして、出走表を見てしまうと、つい手を出したく(要するに車券買いたくなる)なってしまう生き物。また、誰かが「◯◯(競輪場名)の第△Rは勝負なんだよね」なんて言っているのを聞いた日にゃ「ふーん、どれどれ」と、つい乗せられて一緒に熱くなってしまう、そういう性分なのです。(*誤解していただきたくないのはここまで書いた競輪狂の方々を私は大好きだということ)
私たち出演者一同は奈良チャリロトプラザに集う競輪狂たちが奈良本場以外のレースにも熱くなっているのを微笑ましく見つめながら、朝から晩まで放送をしているのです。
そんな中、前回の放送中に一際プラザ内が盛り上がったレースがあります。7月8日のお昼過ぎ、名古屋F2の第7Rのことでした。
その節の名古屋競輪場はオール7車立て開催で、9車立て(奈良はF1戦でした)にコテンパンにされた者たちの憩いの場となっていました。7Rに出場した7名の選手の中には肥後公允(奈良91期)選手と大井啓世(奈良58期)選手がいました。大井選手は2月に落車しての復帰戦。また、今期からA級2班に落ちてしまっていました。
S級から降級してきた地元の山田哲也(愛知99期)選手や石黒健(広島81期)選手が率いる3車ラインもいる中、奈良勢は2車ラインを組み、肥後選手は積極的に前へと車を進めます。打鐘では先頭に立ちましたが、残り1周で中団にいた石黒選手に巻き返されてしまいました。その時、肥後選手をマークしていた大井選手がポンと、石黒選手の番手を捌き、その結果、石黒選手の番手に奈良の二人はハマれる展開に。そして、第2コーナー過ぎから肥後選手が番手捲りを打ち、ゴール前で大井選手が肥後選手を差して、復帰戦を見事に1着で飾りました。
この記事を書くためにレースダイジェストを改めて確認しているのですけれども。大井選手、1度も後ろ見ていないのでは!?そう思うくらいスマートな捌き。落車などにより長期欠場を余儀なくされた選手の多くが、復帰戦ではレースの感覚を取り戻すことが課題だと言います。直前にシッカリ練習したとしても、実際のレースでの感覚、身体の反応といったものはレースの中でしか戻せないのかも知れません。それなのに4ヶ月ぶりのレースであの捌きができてしまうなんて驚きです。
1986年にデビューされてから33年、身体の反応だけに留まらない体内の細胞の隅々にまで染み込んだ“競輪選手”=大井啓世を見せつけられ、鳥肌が立つほど興奮しました。
そんな大井選手の走りに奈良競輪場のチャリロト・プラザは大盛り上がり!みんなが大井選手の走りと前を駆けた肥後選手の走りを熱く語り合っていました。できるならばその様子を録画して、選手に届けたい!そんな気持ちにもなりました。あなたの走りに地元ファンはこんなにも元気を貰っていますよ!と。
以前、大井選手にお会いした際、地元記念に懸ける熱い思いを伺ったことがあります。地元を愛する大井選手の走りはいつまでも変わらずに地元ファンから愛されているのだと感じました。
__追記
今月2度目の奈良競輪場に到着すると。
和歌山F1終わりの大井選手とお会いする機会に恵まれ、名古屋F2の時のお話しも伺うことができました。
「時代遅れかも知れないけど、1人くらい“競輪”を続ける奴がいても良いと思って……自分のスタイルを貫いていきたい。そして、もう1回、赤いラインのレーサーパンツ履きたいんです」と、大井選手。
この大井選手の言葉を私の解釈だけで伝えることは本意ではありません。是非、大井選手の走りから感じていただきたいですっ!!
木三原さくら(きみはら・さくら)
1989年3月28日生 岐阜県出身
2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている
木三原さくら
2013年夏に松戸競輪場で ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。 以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。 番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。 好きな選手のタイプは徹底先行! 好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。 “おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。