2021/12/29(水) 15:00 0 2
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今回はベテラン選手の苦悩の好プレーを紹介! 前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
7月の伊東(ニッカン・コム杯)で落車し、骨盤骨折の重傷を負ったのが53歳。10月には54歳となったが、半年後、また雄姿を見せてくれた、坂本英一(54歳・栃木=59期)。長く特別競輪で活躍したスピードレーサーだ。競輪にかける思いは、とにかく熱い。
もう10年ほど前になるだろうか、落車やケガに悩まされ、レースでは思うような走りができなかった時期がある。
「泣きながら、ずっとバンク周回してたよ。涙が…ね」。ハスキーで穏やかな語り口は検車場の名物の一つ。不屈の男が腰を下ろして話す時、心に刺さる。
12月25日、大垣競輪場の2日目、チャレンジ一般戦。不安しかなかったが、変わらない闘走があった。最終BSでは最後方の7番手。最終4角、自らコースを確保すると、前団にわずかな開きが…。自分が生きる道はここしかない。自分を信じて踏み込むと、最後は渾身のハンドル投げ…。
2着に強襲する好プレーだった。「Why,なぜに、生きているのか」。生きる意味を探し続ける、一人の男の走りがあった。愛息・坂本将太郎(28歳・栃木=101期)も胸を打たれたことだろう。競輪の味わいを教えてくれる走りに★3つ。2022年また、何度もその熱い走りに期待しよう。
すごいで賞=★★★☆☆(星3つ)
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