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【渚のバイセコー】主演は現役を続けてきたご褒美 52歳の三宅伸選手が俳優デビュー

2021/11/12(金) 12:00 0 9

岡山県玉野市を舞台にした『たまの映像詩集 渚のバイセコー』(11月12日に全国の劇場で公開)は、美しい玉野の自然を背景に、競輪と自転車が紡ぎ出す3つの物語から展開されるオムニバス映画だ。「キングオブコント2021」王者の空気階段や尼神インター・渚、ゆりやんレトリィバァなど人気芸人が多数出演する中で、第1話「美しき競輪」では、玉野競輪所属の三宅伸選手が主演を務めている。現役選手ながら俳優デビューを飾った三宅選手に話を伺った。

自らを「見た目はこんな感じですけど、恥ずかしり屋で内弁慶」と語る三宅選手(撮影:島尻譲)

 52歳の現在も競輪界のトップクラスのS級で戦う三宅選手。「競輪選手になってから、ありがたいことに色々なイベントやお仕事をいただいくことはありましたが、今回は全国公開される映画の主演。もちろん初めてのことで驚きましたが、一方でついに来たかと(笑)、嬉しかったです」と楽しそうにオファー時を振り返った。

 三宅選手が演じたのは、若手とのジェネレーションギャップに悩み、時代の流れに適応できず苦しむ競輪選手・大島役だ。

「年齢を重ねると大島のようになっていく競輪選手は実際多いんですよ。苦しむ先輩方を若い頃から見ていたので、自分は時代に沿って生きていこうって。映画の役とは違って若手と馴染んだ年寄りをやれていると思います(笑)」

時代の流れに戸惑うベテラン選手を好演 Ⓒ2021 たまの映像詩集「渚のバイセコー」

 映画では台詞のシーンも少なくなく自然な演技が光った。撮影前にあたってどんな準備をして臨んだのか気になった。

「体重を管理したり筋トレを多めにしたりとか、年齢を重ねて身体も衰えてきている部分もあるので頑張りました(笑)。演技の準備は特にしていません。ベースとなる台詞はありましたが、監督さんから『岡山弁口調で自分の話やすいように話してくれたら良いですよ』と言っていただいたので、ほぼアドリブに近い状態。逆に台詞だったらぎこちない感じになっていたと思います。

 映画ではイライラして怒るシーンが多く、そういうシーンは割と自然に演技が出来ましたが、競輪場の前で物思いにふけるシーンや監督から要求された表情を作ることは難しかったですね。ただ、苦労した甲斐もあり、物思いにふけるシーンは気に入っています。予告で流れているみたいですけど、劇場で見て欲しいな(笑)」

 撮影は生まれ故郷の玉野市で行われた。印象に残っているエピソードを聞くと「自転車で海岸線を走るシーンがあるんですけど、高校3年間、自転車を漕いで学校へ通っていた道で、競輪選手になってからもそれこそ何往復したかわからないくらい。だから撮影で海岸線を走った時は、高校生の頃やルーキー時代の自分を思い出し、『俺もついにここまできたか!』と(笑)。感慨深いものがありましたね」と笑いを交えながら語ってくれた。

 映画には玉野競輪所属の選手がエキストラ出演している。「真夏の撮影で大変でしたけど、若手は目立ちたがりや出たがりの子も多いので、上手に演技していると思います。暑いので監督さんは僕らの演技に気を使ってOKを出すこともありましたが、逆に僕たちから『もう1回撮らしてください!』というやり取りはありました」

レースシーンでは競輪の迫力やスピード感を存分に味わえる Ⓒ2021 たまの映像詩集「渚のバイセコー」

 競輪選手として通算427勝。2008年には全日本選抜競輪(GI)も制し、獲得賞金は10億円を超えている。現在52歳、全盛期は過ぎたかもしれないが、500勝を目標に今もなお走り続ける三宅選手にとって、今回の映画出演はどう捉えているのか。

「多くの競輪選手がそうであるように、自分も力が落ち始めた45歳前くらいから引退を考え始めました。家族にも言わず自分1人で考えながら…それでも、何とかこの年齢までやってきました。もし選手を辞めていたらこうして映画に出演することも無かったので、現役を続けてきて良かったなと。本業の役者さんでも映画の主演ってなかなか無いと思いますし、これ以上ないご褒美ですよね」

 本作は今をときめく人気芸人が出演している。競輪ファン以外が競輪を知るきっかけにもなりそうだ。

「今、競輪のGIはテレビ中継されていますが、親類や友人が出場していない限り、ファン以外の方が競輪を見る機会は少ないと思います。でも、この映画を見て何かを感じてくれて、『競輪って迫力があるな』とか、『玉野競輪に行ってみよう』『近くにある競輪場に行ってみよう』とか、そんな気持ちになってもらえたらありがたいですね。1回来てくれたら絶対に楽しいスポーツなので」

みんな劇場へ見に来てくれよな!(撮影:島尻譲)


映画『たまの映像詩集 渚のバイセコー』
2021年11月12日(金)より全国公開
公式サイト:https://bicycle.official movie.com/

出演:三宅伸 、渚、ゆりやんレトリィバァ、江西あきよし、ネゴシックス、ハロー植田、鈴井優、ジミー大西、鈴木もぐら(空気階段)、水川かたまり(空気階段)、園都
監督:蔦哲一朗
脚本:川端啓太、蔦哲一朗
制作・配給:吉本興業
Ⓒ2021たまの映像詩集「渚のバイセコー」

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