じめっとした気温に重たい風がバンクをつんざく悪コンディションとあって誰もが風を切るのにちゅうちょするなか、じらしながら太田が前に飛び出した。とはいっても、1周ちょいならお手の物で軽快にペース駆け。最後はわずかに末脚を欠き石井寛子に先着を許したが2着に逃げ粘った。十分な内容に見えたが「今回はクランクを変えたんです。そうしたら重くて、重くて…。回らなかった分、最後持たなかった」と首をかしげた。

　部品を元に戻すかそのまま使うか迷うところだが、なかなか踏ん切りがつかない。それは直前に行った合宿で得たあるアドバイスが頭にあるからだ。9月の立川開催の前後に梅川風子のもとへ出稽古に行ったときのこと。実績上位の仲間たちとの練習に刺激を受けっぱなしで「こてんぱんにやられた」という。そこで梅川から「パワーがあるんだから重いクランクの方がいいんじゃない？」とアドバイスを受けた。実際に試してみたら重たかったが、一旦流れたらスピードがみるみると乗るという。

「私の中では梅川さんは“大先生”。言葉も的確だし、それだけに簡単に戻すべきか迷うんです」

　パワーアップを図れればさらに戦法に幅が増す。目指すは11月に控えるGI競輪祭・女子王座戦。それまでの数場所で手の内にしておきたく、今はきつくても乗りこなそうと考えている。2日目以降も激しい戦いが続くが、試行錯誤を重ねて実戦に順応していく。(netkeirin特派員)