2025/09/03(水) 06:45 0 2
還暦レーサー、川添輝彦が若々しい。初日3Rは片折勇輝と米嶋賢二の3番手。片折が4角を先頭で通過すると外を鋭く踏み込んだ。8分の1車輪の差で米嶋には及ばなかったものの堂々の2着をゲット。
「1着? そうだね。行けたと思ったけど、気づいたらゴールを過ぎていた(笑)」と冗談めかしたが、突き抜けた感覚はあったという。
前回の8月小松島では田村裕也-近藤直幹の3番手から同様の展開で1着を手にした。
「今回もそうだけど、それは中堅の先行選手が前だからですよ。ガツンと行かないし、後ろが付けやすい踏み方をしてくれるから3番手は脚を溜められる。新人や経験の浅い選手だと、いいペースで踏んだときはいいけど、センターやコーナーでバックを踏んだりすると、それだけでもう脚がいっぱいになるんですよ」と、ベテランらしい分析だ。
ただ、それを割り引いても驚異的なプレーが続く。寄る年波に抗うようなレース運びの裏には相当な努力があった。4月から5月にかけて久しぶりに日程が空き乗り込み練習を増やした。乗り込んだ分、疲れがたまり調子を落としたが「おかげで、レースでの地脚がついた」と、代償はあったもののベースとなる脚力を強化することができた。
土台ができると次に取り入れたのは「神経系の練習」。軽いギアで回す、というコンパクトな動きに集中したもので、丹念に取り組むとわずか1か月ほどで効果が現れた。
「やっぱり年を取ると神経は衰える。だから、どうすればいいかをずっと考えていて。筋肉や神経に関する論文を読んだり、YouTubeで関係する動画を見たりしていろいろやってみました。もちろん、合わないものもあるから選んでみて、ようやく練習が合ってきたんです」と、自分なりの練習方法を確立し、下げた競走得点も2点近く取り戻した。
衰えをカバーするという下り坂への抵抗ではなく、今なお伸びしろを感じさせる大人の余裕からはすごみを感じさせる。
「あれだけ伸びてすごい? 60歳でもまだ伸びる。ハハハ」との言葉はあまりにも頼もしかった。(netkeirin特派員)