2025/04/16(水) 10:00 0 10
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週は目標を失った成田和也の選手としての生き様をお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
武雄記念の2日目、4月11日は新山響平(31歳・青森=107期)が当日欠場になるアクシデントが発生した。任せる予定だった成田和也(46歳・福島=88期)はどうするのか…。目標がいなくなり、石原颯(25歳・香川=117期)と畑段嵐士(34歳・京都=105期)が別線ではラインの先頭だ。
スタイルとして、『番手勝負』が選択肢のひとつ。畑段は自在タイプなので、石原の番手にジカで行くケースが考えられた。そこには小倉竜二(49歳・徳島=77期)がいるが。注目の顔見せ。成田は小倉のヨコに並んでいた。
成田の戦い方、に加えてがあった。レース後に成田は「新山がメインで組まれていた11Rで、それに応えるレースをしないといけない」。シリーズの中で、最終レースにつなぐ前のレース。ファンも多く見ている。競輪のレースとして、見ごたえのあるものにしないといけないという責任感も、その奥にあった。
今回はこの姿勢も、好プレーの評価としたい。
技術的な面の好プレーは、打鐘3角の地点だ。小倉が「外競りの勝てるパターンをうまくやられた。さすが」とその一撃を振り返った。4番手から仕掛けに行く石原の後ろで、小倉は打鐘前に一度、成田を飛ばそうとしている。
成田もそこは分かっている。小倉のコースを与えず、しっかり締めることで競り勝てる形に持ち込んだ。上述のレースに対する考え方も含めて★5つとしたい。この対応、緊急事態に応じる選手としての姿勢は素晴らしいと感じた。
「小倉さんは、本当にすごい人なので」
挑むには失礼のないように。小倉は「もう歳やから(笑)、道中の入れ替えもなしで。むやみに当たったりもなく、綺麗にずっと外を回ってくれた」と振り返った。負けて悔しい思いはあるはずなのに、成田を称えるばかりだった。
すごいで賞=★★★★★(星5つ)