2025/03/27(木) 11:00 0 10
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週は「近寄っちゃダメ。吸い寄せられて、終わり」古性優作の恐怖の好プレーをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
3月23日、伊東温泉競輪の大阪・関西万博協賛「第9回ウィナーズカップ(GII)」の最終日が行われ、8R特選で松浦悠士(34歳・広島=98期)の好プレーに目が留まった。ああ、こんな動きができるんだ…。松浦の復調を感じていたら、12R決勝でまたも、あの男が…。
古性優作(34歳・大阪=100期)は競輪界の中心。実績は無論だが、走りでそれを見せつけるえげつなさは衝撃的だ。完膚なきまで、見せつける。
寺崎浩平(31歳・福井=117期)が、近畿ラインの先頭で前に前に踏んで行く。2周半を駆け飛ばす新山響平(31歳・青森=107期)もまたモンスター。2人のやり取りを眼前に見つつ、「誰か来る」を右の腰で感じ取る。後ろにすっと目線を送っている段階で、どのタイミングでスピードで来るかを計測している。
最終3角で襲ってきたのは眞杉匠(26歳・栃木=113期)だった。スピード差がある時、まくりを止めるのは危険を伴う。だが、古性にはそんなことは関係ない。古性がSで眞杉がN。吸い寄せられるように、眞杉は古性に体を預けられて失速する。
安全だけど“S”サディスティックともいえる古性の仕留め方に眞杉は“N”なされるがまま。競輪という丸い世界の中で、古性という磁力がすべてを支配する。この競輪界のS極とN極を古性はつくり出している。
近寄っちゃダメ。吸い寄せられて、終わり。
このレベルの技を習得できればよいわけだが、真似するのも危険なほどだと思う。古性と他の選手たちの差は開いていくばかり。恐怖の好プレーに★5つ。
すごいで賞=★★★★★(星5つ)