前検日の前日に第3子が誕生した木村弘。先月の奈良記念以来、ほぼ1か月ぶりの実戦でも難なく白星スタート。プロフィール欄の好きな食べ物の中に「嫁のつくるご飯」と入れるほどの愛妻家は、頑張ってくれた妻と、この世に誕生した我が子に、きっちりと1着を届けた。

「1人目が8歳の男の子で、2人目が6歳の女の子。今度も女の子でした。出産に1度も立ち会えていなかったので、今度は立ち会いたくて名古屋記念を欠場したんです。でも生まれてこなくて…。レースに行けってことだったんだと思います。次が初めてのビッグレースだし、どうしても1走しておきたかった。久留米に向かう前検日の前日、福岡空港に着いた頃に生まれてくれたみたい。テレビ電話で妻とも話せたし、子どもも見ることができた。今度は自分が頑張る番ですね」

　前受けから車を引いて3番手で並走。外をドカして捲りを決めて幸先良く滑り出したかと思ったが…。

「別線の動きが遅ければ突っ張りも考えていた。久しぶりのレースだったし、雪の影響などでバンクに乗れていない。余裕がなったし、呼吸もキツかった。なにより、自分の乗り方を忘れてしまっている。少しでも思い出していかないと」

　レース後は反省ばかりだった。昨年11月の平塚でS級初Vを経験し、次走のウィナーズカップで初のビッグレース出走。16日に33歳となる木村は、予選の1着では満足できないレベルにまで到達している。

　ちなみに第3子の名前は「6歳の長女が決めてくれて。それを採用します」と微笑ましいエピソードも。準決勝も愛する家族のためにパパは頑張る。(netkeirin特派員)