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【120期適性試験組の現在地】濱野咲独占インタビュー「課題は明確」憧れの存在とともに鍛え、開花に向けてひた走る

2021/09/04(土) 12:00 1 6

 競輪選手になるためには、日本競輪選手養成所を出なければならない。学生時代から自転車競技に親しんできた候補生が多いなか、「適性試験」を合格して他競技から競輪の世界に足を踏み入れる選手もいる。
 今回はその「適性試験」で身体能力を認められ、6月にガールズケイリン選手として本格デビューした濱野咲選手に、近況と養成所時代、そしてこれからについて話を聞いた。(取材・構成 netkeirin編集部)

中村由香里を手本に日々練習に励んでいる濱野咲(撮影:島尻譲)

ーー大変な時期に取材をお受けいただいてありがとうございます。8月12日にはいわき平で「ガールズドリームレース」が開催されましたが、ご覧になりましたか?

濱野咲:はい! やっぱり児玉(碧衣)さんはあの強いメンバーの中で自力を出して勝てるっていう勝負強さと、自信にあふれた走りを見て、やっぱりレベルが違うなと思いました。こういう人が上に行くんだって感じました。

ーーご自身の課題も見えてきたりしましたか。

 自分はまだ自力がないので……。脚力もそうだし、気持ちの持ちようが違うと思いましたね。トップの選手は「絶対勝ってやろう」っていうのがレース前や練習中から出ているんですよ。一緒に生活しても伝わってきます。自分はまだ「もし負けちゃったらどうしよう」とかマイナスのことを考えてしまうことが多くて、メンタル面の課題が大きいですね。

ーー少しずつ自信をつけていく、といったところでしょうか。ところで同じタイミングで東京五輪がありましたが、ご覧になりましたか?

 見ました! 自転車競技の話をした方がいいですか?

ーーそんなことはないですよ! 濱野選手はバスケットボールのご経験がありますもんね。

 はい、久々にバスケしたくなりましたね。女子代表が準決勝で逆転したときは「勝負強いな〜」と思いました。あと卓球見るの好きなんです。ミックスダブルスの金メダル、すごかったですね! 自転車は個人戦だけど、2人で戦う姿に感動しました。

ーー息がピッタリでしたもんね。ところで、濱野選手は養成所に入るまでは自転車競技のご経験がなかったそうですが、どんな苦労があったんでしょうか。

 入所前は自転車にすら乗ったことがなかったんで、そこから大変でした。普通の自転車とは全然違ってブレーキもないし、怖かったですね。

入所後に初めて競技用自転車に乗ったという(手前が濱野)(撮影:島尻譲)

ーーどれくらいで慣れましたか?

 自転車に乗るのは2日くらいですかね。スピードを緩めたいときバックを踏むじゃないですか。それも練習で言われてもできなくて、止まりたかったらぶつかるしかないと思ってて。適性試験では身体能力を評価してもらったと思うけど、それが自転車に伝わらないのが悔しかったです。人と並んで走るというのも怖いですし。

ーーそうですよね……。では、デビュー後に感じた難しさはどのあたりですか?

 それはもうシビアですね。位置取りが命。養成所のときは「位置取りは取れたらいい」という感じだったけど、今はそこが命なので。

ーー自分が回りたいところになかなか入れない、という。

 そうですね。養成所の時は最初の並びのまま棒状で走る感じで、入れ替えとか車間をあけるとかなかったんですよ。今は、自在の人の後ろにいる自力の人の前じゃないと入れてもらえないから。自分が自力の人にかぶせて行っても入れてもらえなくて、前を切ろうとしても突っ張られたり。難しいです。

デビュー後に感じたレースの難しさを語る濱野

ーーなるほど……。同期の選手のレースを見たりはしますか?

 はい。山口真未さんの伊東でのカマシ、すごかったです。今(同期で)強い人はみーちゃん(西脇美唯奈)以外みんなナショナルチームなので、正直差はすごくあると感じてます。

ーー差を埋めていくために、どんなことが必要だと考えてますか?

 私の課題は明確で、ジャンからの一番最初の踏み出しが弱いんです。そこがずれちゃったりすると千切れてしまう。あとは自分が番手でかぶせられたときに負けちゃうのがあって、「気持ちが弱い」って言われてるので。脚力もつけなきゃいけないし、気持ちの部分を強くしてから練習しないとって思います。

ーー怖さがあるんでしょうか……。

 転ぶのとかは全然平気なんですけどね。痛いですけど。他の選手に来られた時に、慌ててしまう。養成所の時は「行ってやるよ!」って思えてたけど……。松山のときも超いい位置にいたんですけど、川田(ひな)さんに入られたときに踏ん張れなくて。そういうのからもいろんな選手に「気持ちが弱い」って言われてますね……。

ーー心を鍛えていきたい、と。

 はい。やる気はあるし、練習もしてるので、プロになった以上はなあなあになりたくないですから。心身ともに強い選手になりたいです。中村由香里選手みたいになりたい。

ーー中村選手、やっぱりすごいんですね。

 すごいですね〜。自分に厳しいんです。毎朝6時くらいに練習場に来てるんですけど、ミッドナイト明けも朝からいたんですよ。見間違いかと思いました(笑)。

ーープロ意識の高さを感じます。

 そうですね。やっぱり一緒にやらせてもらっている以上は私もしっかりやらないと。もともとは朝9時から練習だったんですけど、最近は6時半からやらせてもらってて。ローラーでアップして、7時半から若手の男子選手と一緒に練習しています。中村さんほどの選手でも他の人より早く来て練習しているんだから、私はそれ以上のことをしなくちゃいけない。頑張ります。

ーー素晴らしいお手本がそばにいて良い環境ですね! 朝が早いようですが、1日のスケジュールはどんな感じですか?

 (急にかしこまって)5時に起きます。そして、朝ご飯を作ります。ここでちょっとポイントなんですけど、どんなに朝早くても朝ご飯を食べないことは絶対ないです。そして6時半から練習を始めます。1時間半ウォームアップして、7時間集中するという気持ちで練習に臨みます。

1日のスケジュールをコミカルに説明する姿は、さながらドキュメンタリー番組のよう

ーー(笑)。7時間って長いですね。

 今はこれが一番いい練習方法なのかなって。9時までの練習グループと9時からの練習グループを変えていて、いろんな人ともがかせてもらっているので、今はすごく充実してます。

ーー練習から帰ってからは?

 (またかしこまって)ご飯を作ります。ここもポイントなんですけど、自炊するっていうことが。少しお休みを取ってからウエイトに行きます。ちゃんとします(大真面目な顔)。帰ったら夜ご飯を作ります。

ーー3食自炊なんですね! 得意料理とか教えてもらえますか?

 王道なんですが(笑)、カレーですかね。こないだ夏野菜カレー作りました。野菜が大好きなんです。

ーー栄養バランスばっちりですね! お休みの日はゆっくりできていますか?

 休む時は休むって感じですね。目覚ましもかけずにゆっくり寝て、お散歩して。歩くのがすごく好きで、手ぶらで寄り道もせずひたすら歩いちゃう。食べたものを消化させてからまた寝ます(笑)。

ーーリフレッシュできているようで安心しました。濱野選手がガールズケイリンという初めての環境に飛び込んでいくとき、ご家族はなんとおっしゃっていましたか?

 うちは家族みんな競輪が好きなんですよ。父と兄が「車券が買えなくなる」って言ってましたけど(笑)、今は「怪我なく走ってほしい」って言ってくれてますね。レース前後には連絡をくれるので、そのたびに「家族のためにも頑張んなきゃな」って思います。

ーー温かく見守ってくれているんですね。 最後に、濱野選手が大切にしている言葉を教えてください。

「意志あるところに道あり」! そう信じて頑張ります!

ーー応援しています! 本日はありがとうございました!

有村架純似の愛らしさに目を奪われるが、親しみやすいキャラクターにも惹きつけられた

 本デビューから苦しいレースが続いている濱野。相当落ち込んでいるのでは? と心配して取材に向かったが、しっかり自身の課題を把握して地道に練習を重ねていることがわかり、頼もしく感じた。中村由香里という素晴らしいお手本がそばにいることも心強い。まだ19歳。このトンネルを抜けて、花咲くときが待ち遠しい。

 ※制作スタッフ全員がPCR検査陰性を確認し、マスクおよびフェイスシールド着用の上、取材・撮影を行いました。

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