過去6V、今シリーズ実績一番の伊藤信。前回は準決勝3着、失格を除いて久しぶりに決勝進出を逃した。

「前回の勝ち上がりの3走は試しながら。結局、変えた部分を元に戻して最後の4走目だけが良かった。部品を変えたり試行錯誤を重ねてきたけど、自転車(セッティング)の限界はきている。今回はギヤの組み合わせを変えてみる。ばたやん(河端朋之)に近い感じかな」と話す。

「4月に入ってから計画的にトレーニングを追い込んでいる最中で、筋肉痛が残っているし状態面はタイムを見て判断してもらえれば」

　計画的に、とは。伊藤は言う。

「今年もマスターズ(世界選手権・フランス)を目指して、もう一度、体を作り直している。そこに照準を合わせて調子をピークに持っていけるように」

　初出場の22年アメリカ・ロサンゼルス大会で世界一(男子スプリント35〜39歳カテゴリー)となった伊藤が、再び世界の頂点を目指すプランを明かした。

　フランスといえば、いよいよ迫るパリ五輪が開催される。同じ競輪選手で金メダルの期待がかかる超新星・太田海也について「ほんまに強いしケタ違いの強さ。ケイリン、スプリントどちらも期待できるし、ハリー・ラブレイセン(オランダ)を倒せるんじゃないか」と短距離種目で圧倒的な世界王者として君臨する怪物・ラブレイセンと若き日本のホープの対戦に伊藤も心を躍らせる。

「金メダルを獲得して盛り上げてもらって、その裏でオジさんはひっそりマスターズで頑張ろうっと」と笑みを見せて検車場を後にした。(アオケイ・八角記者)