一次予選、二次予選とも目標不在で自ら動いた阿部拓真は、いずれも本命選手の番手をさばいて最後にタテ脚を繰り出し連勝。

「本当にたまたまです。自分の場合は常に紙一重なので。今日も内が空かなかったら終わっていましたし。隙間産業がたまたまうまくいきました(笑)」と何度も"たまたま"を繰り返したが、前々に踏んだからこそ"たまたま"を引き寄せられたともいえる。

　今大会の冠にもなっている滝澤正光氏は、阿部が競輪学校時代の校長先生だった。

「自分は学校では弱すぎてT教場(選ばれたものが滝澤校長に直接指導を受ける)に一度も入れなかった(苦笑)。でもデビュー後に冬期移動先でバイクで100周引っ張ってもらったりとお世話になっています。なんとか決勝にはいきたいですね」

　うまく臨機応変に立ち回れば"たまたま"がもう一度あるかもしれない。(netkeirin特派員)