2021/05/22(土) 17:00 0 3
東京スポーツの前田睦生記者がGP・GI・GII・GIII・FI・FIIのレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」!
今回も競輪史に残る名勝負を繰り広げた日本選手権競輪からピックアップ。前田睦生記者の直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
決勝を制したのは松浦悠士(30歳・広島=98期)。清水裕友(26歳・山口=105期)の先行に乗って“ダービー王”の称号を手にした。しかし、その決勝を支配していたのは郡司浩平(30歳・神奈川=99期)だった。
彼が、競輪を生んだのか…。ゼウス、なのか…。
周回は8番手。佐藤慎太郎(44歳・福島=78期)がマーク。中団に関東勢。
行く気満々の眞杉匠(21歳・栃木=113期)がいるので、先頭にいる清水を切って関東を出すか。いや、青板BSから動いた郡司は眞杉の横でストップ。ちょっとためて叩くと清水を後方に置いての勝負ができる。封じたままなら、その位置は取り切れる。清水を逃がしてまくる…か。
脚力と技術、また他の選手の力関係を把握しているからこそ、この組み立ては成立する。
敵を縛り付ける、究極の外並走。赤板過ぎでも真杉は引かない。平原康多(38歳・埼玉=87期)のコラムにもあったように、引かず郡司にプレッシャーをかけ、叩かせ勝負。眞杉のこれからの戦いにもつなげさせたい思いが、今回ばかりはマイナスに作用した。
清水は打鐘で腹をくくる。郡司は5番手確保なら、やや遠い。松岡健介(38歳・兵庫=87期)と浅井康太(35歳・三重=90期)がそれぞれ単騎でいる。邪魔になる…ぞ。
ズバっと踏み込んで松岡を締め込み、3番手確保。9車の戦いを知り尽くしている。いや、この展開の進行、郡司が元々書いていたのか。
さすがに番手有利の松浦をとらえるまでにはいかなかったものの、微差の2着。後ろの佐藤も微差の3着なら、走りの密度は最高レベルに指定されるもの。3大会連続GI制覇はならず。しかし、ダービーの決勝を支配する走りは圧巻。優勝ではないので★4つとさせてもらうが、満点の評価がふさわしいほどのレースだった。
すごいで賞=星★★★★☆