2023/04/29(土) 17:30 0 11
4月30日から6月にかけて全4戦行われる「競輪ルーキーシリーズ2023」。第1戦の宇都宮シリーズが30日から宇都宮競輪場で開幕する。7Rガールズ予選1に出場する星野しほに話を聞いた。(取材・netkeirin編集部)
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念願のデビュー戦を心待ちにするのは、東京・立川競輪をホームバンクとする星野しほ(23歳=124期)だ。
学生時代に野球とソフトボールに打ち込んだ星野は、ガールズ11期にあたる120期として2020年に養成所に入所。ところが、入所4か月後に身体の怠さを感じて診察を受けたところ、完治が難しい血液の病気を患っていることが判明。入院して治療に専念することになり、休学を余儀なくされた。
「歩くのもままならず、握力は6kg台まで落ちて、箸を持つことすら出来ませんでした」
絶望的な状況に陥った星野を支えてくれたのは、師匠である山崎充央(48歳・東京=74期)と、120期の仲間だった。
「師匠はリハビリ段階からメニューを組んでくださって親身になって指導してもらいました。120期では、山口真未(31歳・静岡)さんや中村鈴花(21歳・熊本)さんから、体調を気遣うメッセージや、養成所入所後は手紙を貰ったり、公衆電話に電話をしてくれたりと親切にしてくれて…120期のウェアは苦しい時の支えになりました」
長いリハビリを続け復学試験に合格、昨年5月に再入所したが、イチからスタートだった。
「最初は強度の高い練習をすると体調が悪化したり…身体と相談しながらでタイムを戻すに半年かかりました」。かつての仲間が選手デビューする中、自分は血液の病気を患い、練習も満足にできない日々。選手をあきらめる時は無かったのか。
「実は病気になる前も養成所の試験を2回落ちているんです。せっかく掴んだチャンスですし、師匠にも『お願いします』と言った手前、あきらめる選択肢は無かったです」
そんな苦労を重ねてきた星野は、プロ野球選手の中田翔の大ファンだと言う。
「中田選手を大阪桐蔭時代から見ていて、野球選手というよりも人間として魅力を感じます。プロとしての立ち振る舞いや、一打席にかける執念に惹かれます。明日デビュー戦を迎えますが、1レースごとに出し切る気持ちで走り抜きたいです」
競輪選手を目指したきっかけ東海大菅生高のOGでガールズケイリンで活躍中の小林莉子(30歳・東京=102期)の存在。「莉子さんは代は被っていませんが、部室に莉子さんの写真が飾られていて、プロ野球の始球式に呼ばれたのを知ったんです。『ガールズケイリンで頑張ればプロのマウンドに立てるんだ』と思ったのがきっかけです」
デビューは遅れたが、その分、精神的に強くなった星野。明日のデビューに向けて腕ならぬ脚を撫す。
「緊張もありますが、お客さんの前で走るのは楽しみです。賞金はこれまでお世話になった親と師匠への恩返ししたいと思います」
必ず競輪界で活躍して憧れの始球式を目指す。