2023/04/12(水) 08:45 0 11
「ちょっとでも自転車が進んでくれるように」
初日の光景だった。レース後に続々とガールズ選手が引き揚げていく中、ただひとり検車場の隅で自転車を整備する選手がいた。その正体は布居光だ。
布居は2場所前の高知で初勝利を挙げた。デビューから3年、これまで届きそうで届かずにいた白星を掴み取るまでは焦りや不安、苦悩が続いたことだろう。念願の1勝を掴んだことで気持ち的にも楽になり、また、家族や周りも喜んでくれたと布居はいう。
選手にとっては商売道具、相棒である自転車をじっくりと整備する布居に記者が「かなり入念に整備されていますね」と声をかけると、冒頭の言葉が返ってきた。その言葉の通り、2日目のガールズ予選2で自転車は進みを見せた。
最終バックで先行した刈込の番手から尾崎が捲ると、3番手にいた吉村が続いて4番手の布居も前のふたりをしっかりと追走。吉村が尾崎を差し切って1着、布居は3着も最後は尾崎を捕らえそうな勢いで確定板に食い込んだ。
レース後は「自転車、進んでくれました」とにこやかな表情を見せるが、布居は冷静に自己分析をする。「課題はまだまだ沢山。こうしたら詰まっちゃうだろうな、と考えていても、実際にそういう展開になった時に何もできずに終わってしまうことが多い。自分から動ける時は動いていくことが大事ですよね」
「練習は主に家族とやっています。父(寛幸・72期)と兄たち(翼・109期、大地・111期)ですね。脚も少しずつ付いてきた。練習で手応えを感じることもあるんですけど、やっぱりレースは周りが強くてなかなか力を発揮できない。今は最終日こそ自分で動こう、とかテーマを持って走っています。次走は地元戦だし、最終日はそこに繋がる走りがしたい」と1つ1つステップアップを図る。
少しでも速く、少しでも進むように勝てるように。今日も選手たちは自転車と向き合っている。(アオケイ・八角記者)