2021/04/21(水) 10:15 0 2
今回はS級S班の選手が4名参戦した。郡司浩平、松浦悠士、清水裕友、佐藤慎太郎だ。S班でも新田祐大と脇本雄太が東京オリンピックに向けて競技に集中している現状では、「郡司」「松浦」「清水」の3名はさらに上のクラスのグレードS班といっていい。
今シリーズはダービーに向けて、前後が注目されるが、松浦、清水の連係が当然中心となる。この2人は基本的にシリーズを通した並びになり、途中で逆並びの変化技は取り入れない。玉野記念in広島(瀬戸の王子杯争奪戦in広島)で、初日特選と決勝は前後を入れ替えたが、あれは松浦のホームバンクのレースだったのでレアなケース。現状、どちらが前を回るか分からないが、番手を回った選手が勝つ確率が高い。
ストップ松浦・清水の使命感があるのは郡司浩平だ。郡司は地元川崎の全日本選抜(読売新聞社杯全日本選抜競輪)・GIIIの桜花賞(桜花賞・海老澤清杯)と連覇している。次は5月上旬の京王閣ダービー(日本選手権競輪)に照準を絞っているが、郡司の良さは「常に全力プレー」だ。ファンのために手抜きはなく、きつめに仕上げている途中でも、簡単に不発には終わらない。
佐藤慎太郎は、本人も公言している通りやや精彩を欠いている状態だ。年齢を考えれば良くやっている方だが、S班としてのプライドもある。このバンクは相性が良く通算100勝を決めたり、2005年には当時のビッグレース・ふるさとダービーを制したりしている。今シリーズは郡司、慎太郎の男の連係が本人の希望だ。
地元のエースは山田英明だ。惜しい男で終わっているが、GI覇者になるために命を削るようなトレーニングをしている。山田は九州でも人望があり、「ヒデさんのためなら、ひと肌ぬぎたい! 」と思っている若手先行選手は多い。あの中川誠一郎でさえ、もし決勝戦で前を回るケースがあれば、赤板からの2周先行もいとわないだろう。68周年で地元記念は獲っており、今回は弟・庸平との兄弟ワンツーを目指す。これが決まれば最高のドラマになる。
強烈な個性とキャラクターで売っている荒井崇博も地元記念は滅法強い。まだ自力脚も色あせていないし、直前の小倉FIでは諸橋愛にマークして話題も提供している。「九州のうるさ型」として一定の影響力がある。地元記念は4回優勝しており、脇役では甘んじない。
慎太郎のボヤキ節が聞こえてきそうだが、北日本の1班の先行選手は不在。関東は吉田拓矢の機動力が魅力だが、マーカー陣が手薄である。南関は破壊力のある岩本俊介が、郡司のアシストで一発狙いだ。
中部は勢いがなく、近畿は野原雅也の名前が目につく程度。中四国は松浦、清水のガード役が小倉竜二と言うのは大きい。ただ、オグリュー(小倉竜二)の性格を考えれば、小川真太郎に良いポジションを与えることも考えられる。
2班の若手に山口拳矢、町田太我のような、誰もが知っている将来のスターは不在。結局、S班や地元山田英明が中心になる大会になりそうだ。