2023/04/25 (火) 12:00 38
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
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武雄競輪開設73周年記念大楠賞争奪戦決勝メンバーが出揃いました。メンバー、ライン構成は以下の通りです。
①脇本雄太(福井・94期)ー⑤大川龍二(広島・91期)
②新山響平(青森・107期)ー⑦佐藤慎太郎(福島・78期)ー⑧内藤宣彦(秋田・67期)
④伊藤旭(熊本・117期)ー③山田庸平(佐賀・94期)ー⑨橋本強(愛媛・89期)ー⑥湊聖二(徳島・86期)
北日本の並びは想定通りで、あとが変則的になりました。準決勝の経緯もあり、地元の③山田が①脇本の番手を回るのか、それとも④伊藤を間に入れるのかと思っていたら、④伊藤が先頭で③山田が番手になりました。それを受けて、⑨橋本が「ならば地元を盛り上げる意味でも九州3番手を回る」となり、①脇本の後ろは⑤大川が回ることになりました。普通に考えたら、①脇本の後ろが一番優勝に近いはずなのに、④伊藤の意向もあり③山田はそこの番手を回ります。
選手は今も大事ですが、その先も見ています。どうやったら良い位置を回れるか、他の選手にどう見られているかを常に考えます。そのことがいい方向に向けばいいのですが、発進することで次に良い位置を回ることを狙うのは、自分との勝負を避けているので成長には繋がりません。
今回の④伊藤はそれとは違いますが、①脇本というモンスターがいるので、③山田は後輩の「頑張ります」を汲み取ったのでしょう。四国勢もいつ連係するか分からない①脇本よりも、九州勢の後ろを選択した方がチャンスが広がります。この並びとなった以上、②新山がマイペースで駆けることは難しくなりました。④伊藤も地元の③山田が付く上に4車なので先行意欲は高いでしょう。
初手の①脇本はどこでも構わないスタイルなので、②新山が捲りを狙うかどうかで展開は変わります。①脇本のスピードに対抗できるのは②新山しかいないので、②新山が九州四国勢と先行争いする形になれば①脇本の優勝ですね。
①脇本が一番嫌なのは②新山が先捲りを打つ展開です。当日は雨予報なので、バンクがスリップし易いコンディションでもあります。準決勝後の①脇本は「スリップが心配だった」と言うように、②新山が先捲りする展開だと100%のパフォーマンスを発揮し辛いコンディションです。最終ホーム、先行④伊藤、中団②新山、後方①脇本になるのが波乱の要素です。
H.④③⑨⑥ ②⑦⑧ ①⑤
←②⑦⑧ ①⑤
B.←③⑨⑥
④
③山田と②新山がもがき合う形になれば①脇本有利ですね。
・1ー325ー3257
①脇本が苦戦する展開は外、外に回される展開です。
・3=27ー297
・3ー9ー27
展開有利なのが③山田、①脇本に対抗できるスピードを持っているのが②新山です。次にダービーを控え、優勝は狙うがあまり無理をしたくないのが選手心理です。雨のコンディションがどう影響するのでしょうか。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。