「日本選手権競輪(通称:競輪ダービー)」は、競輪界において最も格式高いG1レースのひとつ。優勝賞金は8,700万円と、他のG1を上回る高額設定となっており、選手たちのモチベーションも最高潮に。さらに、優勝者には年末12月30日に開催される「KEIRINグランプリ2025」への出場権が与えられるため、毎年熱戦が繰り広げられる注目の一戦です。
本記事では、日本選手権競輪の売上推移や高配当ランキング、そしてS班選手たちの成績データをもとに、2025年大会の見どころを徹底解説。データを交えながら、注目ポイントを深く掘り下げていきます。
昨年の「日本選手権競輪(G1)」では、平原康多が悲願の初制覇。感涙のゴールでS級S班への返り咲きを果たしました。そして今年2月の「全日本選抜競輪(G1)」では、脇本雄太が堂々の優勝。これでKEIRINグランプリの出場枠は、残すところあと“8席”ーー。
優勝賞金は8,700万円、2着でも4,251万円という超高額レース。ゆえに、この「日本選手権競輪」は、年末のグランプリを狙う選手たちにとって、まさに運命を分ける一戦となります。
今回は、S級S班の精鋭たちがこの舞台でどのような走りを見せてきたのか。その過去の戦績をひも解きながら、今年の行方を占います。
優勝 | 2着 | 3着 | 着外 | |
---|---|---|---|---|
古性優作 | 0 | 0 | 1 | 3 |
脇本雄太 | 2 | 0 | 1 | 1 |
郡司浩平 | 0 | 1 | 0 | 0 |
平原康多 | 1 | 1 | 0 | 6 |
清水裕友 | 0 | 2 | 0 | 3 |
眞杉匠 | 0 | 0 | 0 | 2 |
新山響平 | 0 | 0 | 0 | 1 |
岩本俊介 | 0 | 1 | 0 | 0 |
犬伏湧也 | 0 | 0 | 0 | 1 |
優勝 | 2着 | 3着 | 着外 | |
---|---|---|---|---|
松浦悠士 | 1 | 0 | 0 | 1 |
深谷知広 | 0 | 1 | 1 | 5 |
山口拳矢 | 1 | 0 | 0 | 1 |
佐藤慎太郎 | 0 | 2 | 2 | 2 |
S級S班の選手たちが「日本選手権競輪」で残してきた実績を見ると、その勢力図が浮かび上がってきます。
まず、最も目を引くのは脇本雄太の活躍です。過去4回の決勝進出で優勝2回、3着1回という安定感と爆発力を兼ね備えた成績を残しており、まさにこの舞台で強さを発揮してきた存在と言えるでしょう。
また、平原康多も昨年の初優勝を含め、1勝・2着1回と存在感を見せています。ただし、着外が6回と波が大きい点も特徴的です。一方で、清水裕友は優勝こそないものの、2着2回と着実に上位争いに食い込んでいます。
他の選手では、古性優作が3着1回、郡司浩平選手と岩本俊介選手がそれぞれ2着1回と、一矢報いる走りを見せていますが、まだ“優勝”には手が届いていません。
さらに、今年S班から陥落した選手の中では、松浦悠士と山口拳矢がそれぞれ優勝1回というインパクトのある成績を残しています。佐藤慎太郎も2着2回、3着2回と、安定した実績を誇っています。
このように、「日本選手権競輪」はS班メンバーにとっても決して容易な舞台ではなく、実績がそのまま勢力図を物語っています。今年は誰が名乗りを上げるのか、例年以上に注目が集まります。
1949年住之江で開催し、今年で79回目を迎える日本選手権競輪。長い歴史の中で、車券売上はどのように推移してきたのか? そして、最も熱狂に包まれた年はいつだったのか? 過去のデータをひも解きながら、その軌跡を振り返ります!
回次 | 優勝者 | 売上 (円) |
---|---|---|
1 | 横田隆雄 | 137,767,900 |
2 | 横田隆雄 小林源吉 | 141,913,800 |
3 | 宮本義春 | 102,018,800 |
4 | 山本清治 | 442,662,400 |
5 | 高倉登 | 277,982,000 |
6 | 高倉登 | 375,336,800 |
7 | 宮本義春 | 445,723,900 |
8 | 中井光雄 | 246,421,700 |
9 | 松本勝明 | 399,370,200 |
10 | 松本勝明 | 262,857,300 |
11 | 坂本昌仁 | 666,347,700 |
12 | 佐藤喜知夫 | 757,437,200 |
13 | 吉田実 | 786,605,000 |
14 | 石田雄彦 | 838,967,700 |
15 | 吉田実 | 892,048,300 |
16 | 西地清一 | 540,159,000 |
17 | 笹田伸二 | 1,830,945,700 |
18 | 石田雄彦 | 1,918,085,400 |
19 | 笹田伸二 | 2,274,980,900 |
20 | 宮地雄資 | 2,433,095,500 |
21 | 平間誠記 | 3,006,120,100 |
22 | 吉川多喜夫 | 3,604,063,500 |
23 | 工藤元司郎 | 1,941,889,900 |
24 | 荒川秀之助 | 2,453,595,000 |
25 | 河内剛 | 3,021,070,500 |
26 | 阿部道 | 3,799,921,600 |
27 | 田中博 | 4,285,397,700 |
28 | 高橋健二 | 4,557,817,500 |
29 | 新井正昭 | 6,157,594,500 |
30 | 小池和博 | 5,814,667,000 |
31 | 藤巻清志 | 7,089,571,500 |
32 | 山口健治 | 9,575,226,600 |
33 | 吉井秀仁 | 8,894,936,500 |
34 | 中野浩一 | 9,679,523,500 |
35 | 中里光典 | 8,191,744,400 |
36 | 井上茂徳 | 9,926,667,900 |
37 | 滝澤正光 | 9,568,163,700 |
38 | 清嶋彰一 | 11,486,023,500 |
39 | 滝澤正光 | 18,479,766,500 |
40 | 清嶋彰一 | 22,292,546,500 |
41 | 滝澤正光 | 27,757,499,700 |
42 | 小川博美 | 35,249,214,200 |
43 | 俵信之 | 34,648,784,900 |
44 | 坂巻正巳 | 37,201,008,900 |
45 | 吉岡稔真 | 41,799,396,700 |
46 | 海田和裕 | 42,063,202,100 |
47 | 小橋正義 | 43,013,705,100 |
48 | 小橋正義 | 37,421,779,200 |
49 | 吉岡稔真 | 39,298,514,100 |
50 | 濱口高彰 | 38,193,585,300 |
51 | 吉岡稔真 | 38,697,391,300 |
52 | 神山雄一郎 | 40,739,302,800 |
53 | 岡部芳幸 | 37,314,237,600 |
54 | 稲村成浩 | 37,479,645,500 |
55 | 山田裕仁 | 33,175,910,000 |
56 | 山田裕仁 | 28,882,457,600 |
57 | 伏見俊昭 | 25,639,616,600 |
58 | 鈴木誠 | 24,495,123,900 |
59 | 吉岡稔真 | 22,832,262,400 |
60 | 有坂直樹 | 22,478,069,000 |
61 | 渡邉晴智 | 21,373,728,500 |
62 | 武田豊樹 | 19,075,201,700 |
63 | 村上博幸 | 16,933,522,200 |
64 | 村上義弘 | 16,241,533,700 |
65 | 成田和也 | 15,540,431,900 |
66 | 村上義弘 | 14,471,479,200 |
67 | 村上義弘 | 13,672,011,400 |
68 | 新田祐大 | 12,981,732,000 |
69 | 村上義弘 | 12,739,122,000 |
70 | 中川誠一郎 | 15,321,967,500 |
71 | 三谷竜生 | 14,620,658,800 |
72 | 三谷竜生 | 13,590,857,100 |
73 | 脇本雄太 | 13,581,685,600 |
74 | 開催中止 | ー |
75 | 松浦悠士 | 12,167,194,600 |
76 | 脇本雄太 | 15,145,068,900 |
77 | 山口拳矢 | 14,263,910,600 |
78 | 平原康多 | 15,257,914,200 |
注目すべきは、第30回以降に見られる売上の急上昇です。特に、第40回〜第50回あたりまでは年間400億円を超える売上が連続し、第47回大会では430億1370万5100円と過去最高額を記録。この時期は滝澤正光や吉岡稔真といったスターの登場に加え、競輪人気がピークを迎えた“黄金時代”とも言える時期でしょう。
その後、第50回以降はやや落ち着きを見せつつも、依然として高水準を維持していましたが、第55回を境に売上は下り坂へ。2000年代に入ってからは、娯楽の多様化や景気低迷、他の公営競技との競争激化などの影響もあり、売上は右肩下がりとなりました。第69回では127億円台まで落ち込むなど、最盛期と比べると大きな差が見られます。
しかし近年、再び注目すべき動きが見られます。第76回(脇本雄太 優勝)では151億4506万8900円、直近の第78回(平原康多 優勝)では152億5791万4200円を記録し、回復傾向を示しています。これは、脇本雄太や平原康多といった実力・人気を兼ね備えた選手たちの活躍が、ファンの熱量を呼び戻していることの表れでしょう。
長年の歴史の中で浮き沈みはありましたが、トップ選手の存在やストーリー性のあるレースは、売上回復への大きな原動力となっています。これからの「日本選手権競輪」が、どのように再びファンの心をつかみ、興行としての勢いを取り戻していくのか、引き続き注目していきたいところです。
日本選手権競輪では、堅実な決着となった年もあれば、大波乱が巻き起こった年もあります。 例えば、3連単の配当がわずか3,040円だった年もあれば、驚くような高配当が飛び出したことも。
今年の開催地・名古屋競輪場では高配当は生まれるのか? 過去2002〜2024年の高配当ランキングTOP10を振り返ります!
順位 | 年 | 3連単 配当金額 | 開催場 |
---|---|---|---|
10 | 2002 | 20,230 | 立川 |
9 | 2023 | 20,640 | 平塚 |
8 | 2021 | 22,360 | 京王閣 |
7 | 2012 | 29,920 | 熊本 |
6 | 2009 | 30,270 | 岸和田 |
5 | 2007 | 46,650 | 平塚 |
4 | 2017 | 48,950 | 静岡 |
3 | 2005 | 53,290 | 松戸 |
2 | 2024 | 53,440 | いわき平 |
1 | 2018 | 87,810 | 平塚 |
「日本選手権競輪(G1)」では、毎年のようにドラマが生まれます。中でも注目されるのが、3連単の高配当。堅実な決着となった年もあれば、大波乱で場内をどよめかせた年もありました。
なかでも記憶に残るのが、2018年・平塚競輪場で記録された87,810円という驚異の配当です。この年に優勝したのは三谷竜生。脇本雄太、村上義弘、村上博幸という近畿勢がガッチリと結束し、圧巻のライン戦を見せました。
三谷選手は当時のインタビューで「ラインでしっかり決められたので、良かったと思っています。非常に緊張はしたんですけど、脇本君が本当に良いレースをしてくれたので、ただそれに付いて行っただけですね。」と語っています。
そして、気になるのは今年の舞台・名古屋競輪場。1周400メートル、見なし直線は58.8メートルと平均的な構造で、走りやすい高速バンクとして知られています。実力通りの決着になりやすい一方で、バック側まで増設された芝生席から吹き込む風が、思わぬ展開を引き起こすことも。実際、風の影響でペースが崩れれば、有力選手の脚が封じられ、高配当の波乱が生まれる可能性も十分にあります。
果たして今年は“順当”か、それとも“予想外”か。名古屋の風がレースをどう動かすのか。その一瞬の展開が、歴史に残る高配当を生むかもしれません。
「日本選手権競輪」は毎年4月末、もしくは5月上旬から中旬ごろ、6日間に渡って開かれる競輪のGI競走です。競輪界で最も格式高いレースで、通称“競輪ダービー”とも呼ばれています。