JCX第7戦 松伏シクロクロス

2024/12/26(木) 10:00

晴天の松伏町で開催された「弱虫ペダル Presents 松伏シクロクロス」

埼玉県北葛飾郡松伏町の「まつぶし緑の丘公園」で「弱虫ペダル Presents 松伏シクロクロス」が12月1日、開催された。まだ今年で2回目レースだが、JCXシリーズ第7戦、かつシクロクロスシリーズ第7戦としての位置付けで開催された。全日本チャンピオンであり、地元出身で「まつぶしPR大使」を務める織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)がコース監修にも携わっている。

大会の冠に付く人気漫画「弱虫ペダル」の作者、渡辺航氏も来場し、販売したチャリティーサコッシュの収益を松伏町に寄贈した。
初回の昨年から、よりテクニックが求められるコースへと変えられた。コースは公園の丘エリアと芝エリアにまたがって設計され、自然の地形を利用し、登りやキャンバー(斜面)など高度なテクニックを必要とするセクションに加え、シケイン(障害物)も設定。この日は晴天に恵まれ、特に日中は気温が上がったが、路面はドライではなく、パワーを要するマッド区間も待ち受けていた。スキルとパワーが求められるコースで、全日本前最後のJCX、JCFのシリーズレースが展開されることになる。

女子エリートは、連勝を続ける小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が体調不良で欠場。JCX第3戦を制し、常に上位に入っている石田唯(TRKWorks)、昨年アジア選手権MTBでジュニアチャンピオンに輝き、今年からエリートカテゴリーで走る日吉愛華(Teamまるいち/中京大学)、ジュニアカテゴリーながら高い能力をのぞかせている石川七海(Champion System Japan TT 轍屋)らがスタートラインに並んだ。

女子エリートの一団がいっせいに飛び出していく

好スタートを切ったのは日吉。前戦でも2位と健闘したが、このレースでも積極的な走りを見せ、先行した。石田、石川が日吉を追う。
石田が先頭に立ち、日吉が追う展開となるが、2名が遅れ始め、後方から単独で追い上げていた石川が二人を捕らえた。

追い上げて来た石川七海(Champion System Japan TT 轍屋)とともに走る石田唯(TRKWorks)

軽やかにハイペースを刻む石川に付いて行かれず、日吉、続いて石田が遅れ、石川は単独で先頭に立つ。
石田は石川に食らいつこうとするものの、石川のペースが落ちることはなく、差を詰めることができない。石川はそのまま堂々とした走りで先頭を行き、ガッツポーズでフィニッシュラインを越えた。中学時代から頭角を現し、MTB、シクロクロスで全日本選手権を制し、今年はロードでインターハイ3位、U17の全日本チャンピオンにも輝いた16歳。これからの活躍に期待がかかる走りを見せた。

弱冠16歳ながら、先頭を独走し優勝した石川。笑顔のフィニッシュだ

2位に石田が入り、3位に今年18歳の日吉。最年長が早稲田大学在学中の石田という、若い表彰台となった。

優勝した石川、2位の石田、3位の日吉愛華(Teamまるいち/中京大学)

男子エリートは、コース監修も担った全日本チャンピオン織田、MTBの全日本チャンピオン沢田時(宇都宮ブリッツェン)、ここまでJCXで4勝を上げている副島達海(大阪産業大学)、ロードはキナンレーシングチームで走る柚木伸元 (日本大学)、今年から新チームを立ち上げたシクロクロッサー小坂光(Utsunomiya Lux)ら、上位のフルメンバーが揃っての開催となった。91名がスタートラインに並び、レースが始まる。
好スタートを切ったのは、日大のピンクのジャージ姿の柚木。第1コーナーを先頭で 回り、織田、沢田、副島、高橋 翔 (日本体育大学)らが追い、先頭集団が形成された。しばらく先頭集団が先行していたが、沢田がここから脱落、次第に集団から選手が遅れ始める。

4周目に織田がアタックを打ち出すと、先頭集団の均衡は一気に崩れ、バラバラに。 織田は力強くペダルを踏み込み、他の選手たちを置き去りにし、先頭の独走態勢に入った。

4周目に抜け出してから独走態勢に入った織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)

織田の後方では、副島、柚木がそれぞれ単独で織田を追うが、ハイペースを刻み続ける織田に迫ることはできなかった。
織田は、悠々と先頭を走り続ける。終盤、柚木が副島に追いつき、2位争いも注目の展開となった。

柚木伸元 (日本大学)が副島達海(大阪産業大学)に追いつき、抜きつ抜かれつのデットヒートを展開する
バニーホップでシケイン(障害物)を軽々と跳び越える織田

織田はハイペースを刻み続け、地元の大声援の中、堂々と単独でフィニッシュ。所属チームが冠となり、大使を務める土地でのレース。絶対に勝たねばならない戦いであったが、プレッシャーに打ち克ち、全日本チャンピオンらしい、王者の走りを見せた。

歓声の中、悠々とトップでフィニッシュした織田

最後までテールトゥーノーズの展開が繰り広げられた2位争いは、スプリント勝負となり、フィニッシュラインでハンドルを投げ合う大接戦に。わずかな差で制した副島が2位の座を獲得した。柚木は悔しい3位となったが、今季、遅れてシクロクロスに参入した後、徐々に順位を上げ、全日本前に表彰台までたどりついた。

優勝した織田、2位の副島、3位の柚木

レース後、織田は「皆さんの前で、独走で優勝でき、ホッとしています」と、コメント。終日会場を沸かせていた。
次戦は全日本選手権。2023-24シリーズと同じ、宇都宮の「道の駅うつのみや ろまんちっく村内特設コース」を使用する。前シーズンは全日本が1月の開催であったため、11カ月の間隔での開催だ。
レースの行方を占う上で、男子は、この松伏が重要なレースとなった印象だが、急激に十代の若手選手が頭角を現して来ている女子は、まだまだ読みきれない状況にある。選手は、最後の調整をし、2週間後の一大決戦に臨む。

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【結果】
JCX第7戦 弱虫ペダル Presents 松伏シクロクロス
エリート女子
1位/石川七海(Champion System Japan TT 轍屋)44:32
2位/石田唯(TRKWorks)+01:09
3位/日吉愛華(Teamまるいち/中京大学)+01:59
4位/竹村舞葉(SHIDO-WORKS)+04:01

エリート男子
1位/織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)56:04
2位/副島達海(大阪産業大学)+00:27
3位/柚木伸元(日本大学)+00:28
4位/高橋翔(日本体育大学)+01:55
5位/沢田時(宇都宮ブリッツェン)+02:13
画像:Satoshi ODA

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(P-NAVI編集部)

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