2024/12/11(水) 18:00
今年もシクロクロスのシーズンが始まっている。シクロクロスとは、舗装道路を一部含み、草地や泥、砂地などのオフロードを中心に構成されたコースを走る冬季の自転車競技。もともとロード競技の冬場のトレーニングとして始まったものであり、ロードやMTBの選手も多く参戦する。
コースには一部「自転車では走行できない区間」を含むことになっており、シケインと呼ばれる障害物や、自転車を担いで上がる上り階段なども組み込まれ、レースがダイナミックかつ多様なことから、観戦も人気がある。「世界で最もタフな競技」とも呼ばれ、トップレーサーの公式レースは非常に厳しいものであるが、シクロクロスバイクでなくとも気軽に参加できる一般向けレースもあり、一般参加者も増えつつある。
静岡県御殿場市の「高根西ふれあい広場」特設コースで「御殿場シクロクロス
」が11月3日、開催された。この男女の最上位であるエリート1カテゴリーは、国内リーグのJCXシリーズの第3戦に位置付けられ、同時に全日本選手権への出場権がかかっているJCF(日本自転車競技連盟)シクロクロスシリーズ第3戦も兼ねている。
11月とはいえ、比較的暖かい晴天に恵まれての開催となった。前日には一部新幹線なども止まるレベルの大雨に見舞われていたが、レースが始まる頃には、コース内のほとんどの路面コンディションは回復していたようだ。
コースは地形を利用し、テクニカルな要素が多く含まれる難易度の高いもの。斜面を横に走る「キャンバー」や、アップダウン、上り階段やシケインが含まれる。堆積した富士山の火山灰セクションは前日の雨の影響で、泥となっており、選手には走破するテクニックが求められるとともに、パワーも必要となる。まだシーズンも序盤であるが、ロードやMTBを走ってきた選手も参戦を始め、12月にはヤマ場となる全日本選手権も控えており、今季のシクロクロスシーズンがどうなるかを測る重要なレースになった。
女子のエリート1(WE1)の選手が秋晴れの下スタートラインについた。全日本のタイトルを持つ渡部春雅(明治大学)やJCXの開幕戦で2位に入った石田唯(TRKWorks)らがスタートを待つ。
号砲とともに、いっせいに飛び出して行く。竹村舞葉(SHIDO-WORKS)が好スタートを切り、最初にコーナーを回った。テクニカルなセクションを駆け抜け、日吉愛華(Teamまるいち/中京大学)が先頭でシケインに飛び込み、そのまま先行した。
この後に続いたのは石田と渡部。2人でグループを作り、先行する日吉を追う。
やがて、石田が日吉を捕らえ、そのまま先頭に躍り出た。石田は女子には厳しいと思われた火山灰のセクションもすんなりとこなし、テクニカルなセクションも快調に駆け抜けて行く。
渡部が2位のポジションに上がり、先頭の石田を追う。
石田は大きなミスもなく、テクニックを見せ、先頭を行き、順調に周回をこなして行った。
石田はこのまま落ち着いた走りでトップを守り、トップでフィニッシュ。2位は渡部、3位にはエリートに昇格したばかりの日吉が入り、自身初のエリートカテゴリー表彰台を確保した。
この日のラストレースは、男子エリート1(ME1)。最前列にはMTBクロスカントリーの全日本チャンピオンであり、ロードでも活躍する沢田時(宇都宮ブリッツェン)や、JCXの開幕戦ならびに前日の信州クロスでも優勝し、今季絶好調の副島達海(大阪産業大学)、今季より新チームを立ち上げた小坂光(Utsunomiya Lux)らが並ぶ。
スタートの号砲と同時に、選手たちが一斉に加速していく。好発進した副島が先頭でコーナーを回る。沢田が単独で副島を追い、副島を捕らえると、2名で先行する形となった。
3周目には副島がペースアップ、沢田を振り切り単独先頭となる。沢田は副島に食らいつこうとするものの、追いつくことはできず、視界に入る距離を開けた状態で周回を重ねて行く。
終盤に入り、沢田は決死の追い上げを見せ、差を詰めにかかる。最終周回ではタイムギャップを3秒にまで縮めたものの、ここからこの差を詰め、捕らえることはできなった。
副島は最後まで単独先行を守り切り、開幕戦に続く勝利を上げた。
沢田は2位、3位は鈴木来人(OnebyESU-ICV)が入った。
完走者はわずか10名という、サバイバルレースになった。
ここから一気にシクロクロスシーズンに突入し、毎週末レースが続く。12月の全日本選手権は今年開催された前シーズンと同じ宇都宮のコースで開催される。上位勢が全日本に向け、どう仕上げて行くのか、注目が集まった。
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【結果】
JCX第3戦 御殿場シクロクロス
女子
1位/石田唯(TRKWorks)0:53:25
2位/渡部春雅(明治大学)+1:16
3位/日吉愛華(Teamまるいち/中京大学)+1:30
4位/竹村舞葉(SHIDO-WORKS)+3:35
5位/椿井和佳奈(信州大学)+4:35
男子
1位/副島達海(大阪産業大学)1:05:50
2位/沢田時(宇都宮ブリッツェン)+0:04
3位/鈴木来人(OnebyESU-ICV)+2:03
4位/高橋翔(TeensMAP)+2:21
5位/小坂光(Utsunomiya Lux)+3:02
画像:Itaru MITSUI/AJOCC
(P-NAVI編集部)