2022/10/13(木) 17:50
JBCFロードシリーズの最上位リーグであるJプロツアーの第11戦が9月18日、新潟県南魚沼市開催された。南魚沼市内を流れる魚野川の対岸を往復するように設定された1周1.24kmの周回コースを用いた南魚沼クリテリウムだ。翌日には、同じく南魚沼市内で、経済産業大臣旗が授与されるリーグ内の最重要レースが控えており、このクリテリウムは、その前哨戦的な位置付けでもある。
昨年に続き、2回目の開催となるクリテリウムのコースは、4つの直角コーナーをもつ、ほぼ正方形のレイアウト。コーナーごとの減速と加速に加え、若干のアップダウンが含まれており、周回を重ねるごとに選手をジワジワと消耗させていく。この日は、台風の影響が懸念されていた。選手がスタートラインにつく頃から、雨が本降りになり、高速の展開になることが多いにもかかわらず、コーナーが多いクリテリウムとしては、厳しいコンディションとなった。
Jプロツアーの個人総合首位の証であるレッドジャージは小林海(マトリックスパワータグ)の手中にあるが、この日、マトリックスパワータグは欠場。リーダーとしては、U23首位の山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)がスタートラインナップの先頭に単独で並んだ。TEAM BRIDGESTONE Cyclingもこのレースは3名のみでのエントリーとなった。
いつもレースをコントロールしているリーダーチームの欠場が、レースにどのような影響を及ぼすのか。2カ月ぶりの開催となるJプロツアーの後半戦の幕開けだ。
リーダー不在のスタート。昨年度このレースを制した愛三工業レーシングチームの選手が、勝ちに行く姿勢を見せ付けるように前方を占めた
1.24kmの周回コースを40周する49.6kmのレースがスタートした。パレード走行を終え、リアルスタートが切られると、激しいアタック合戦が始まった。
パレード走行をする選手
リーダー不在の中、抜け出しを図る選手の激しい動きが続き、集団のペースは落ち着かず、選手は消耗されていった。
激しい攻撃が続き、集団のペースが上がり、隊列が長く伸びる
前年の第1回大会でこのレースを制した岡本隼を擁する愛三工業レーシングチームが、集団前方に集まり、レース中盤以降の集団をコントロールし始める。ここでようやくレースは落ち着くことになった。
雨に煙る山々を背景に、魚野川を渡る集団
集団を落ち着かせるべく、愛三工業レーシングチームがコントロールを始めた
レース後半に入った頃、この隙をついて風間翔眞(シマノレーシング)が飛び出し、入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)が追従、2名が先行する形を作る。この2名は10周以上に渡り先行し、このまま逃げ切る可能性も生まれてきた。ショートサーキットの中で、2名は後続集団に10秒前後の差をつけて先行した。レースは終盤戦に突入する。
風間翔眞(シマノレーシング)、入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)が先行する
集団を牽引する愛三工業レーシングチーム
このまま逃げ切らせるわけにはいかない集団を愛三工業レーシングチームが先頭に立ち、牽引し、全力でペースアップ。
雨にもかかわらず、多くの市民が観戦に訪れた
ラスト4周となる36周目、集団はついに先行していた2名を捉えた。残り距離は少なく、ゴールを決するのはスプリント勝負一択だ。各チームの集団スプリントに向けての位置取り合戦が熾烈になっていく。
渡邊、草場が前を引き、スプリンターの岡本隼(以上、愛三工業レーシングチーム)を引き上げながら、最終周回へ
集団コントロールを続ける愛三工業レーシングチームは、残り2周からさらにペースアップ。抱えるスプリンター岡本隼を勝たせる態勢を固めに入る。最終コーナーを回り、先行したのはホワイトジャージを着る山本。チームメイトが最高速度で牽引してきた岡本が放たれ、先行していた山本を交わすと、力強いガッツポーズでフィニッシュラインを越えた。ディフェンディングチャンピオンだった岡本は、連覇を飾ることになった。
チームが託した重責をものともせず、岡本はきっちりと勝利を収めて見せた
リーダーの代わりに、レースをコントロールした愛三工業レーシングチームは2名を表彰台に送り込む好成績で、完璧な連覇を達成。山本哲央は2位に入り、自身のリーダージャージにポイントを積み増している。
岡本、草場の2名を表彰台に送り込んだ愛三工業レーシングチーム
シーズン序盤から連勝を重ねた小林海のランキングにも変動はなく、2名がリーダーを守ることになった。
ネクストリーダージャージを守った山本
翌日は経済産業大臣旗がかかった経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップが行われる。この日の結果が、次のレースを占うものになるのだろうか。注目を集めた。
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【結果】Jプロツアー第11戦 49.6km
1位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム)1:05:33
2位/山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)ST
3位/草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)ST
4位/中島渉(弱虫ペダル サイクリングチーム)ST
5位/香山飛龍(弱虫ペダル サイクリングチーム)ST
【Jプロツアーリーダー】
小林海(マトリックスパワータグ)
【U23リーダー】
山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
画像提供:一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟
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