2025/04/30 (水) 12:00
新年度に入り、間もなく1カ月を迎えようとしています。
当コラムは新年度も無事継続となりました。ひとえに読者の皆様のご協力の賜物でございます。
今後とも変わらぬご愛顧の程、何卒よろしくお願いいたします。
さて、新年度を迎えますと、仕事柄気になるのが、公営競技関係の出演者の入れ替わりです。
各レース場担当の実況アナウンサーやキャスター、リポーターに解説者など、出演陣の顔ぶれの変化をチェックするというのが、筆者の恒例行事(もはや筆者の趣味の一環?)となっております。
新たに就任された方がいる一方、長年務めてこられた、「レース場の顔」「番組の顔」的な存在の方が退任されたレース場もあります(卒業と書きましたが、契約満了(円満なのかそうじゃないのか)、辞任、あるいは解任なのかも気になるところですが…。むしろ、ここが最も気になる?)
公営競技の実況アナウンサーは、各レース場の専属の場合が多く、スポーツの実況アナウンサーと比べると、声や名調子で場所(レース場)が分かるというのもあり、「そのレース場の顔」的な意味合いが強くなります。
定期的な入れ替わりはなく、長年同じレース場で務めておられる方が多いのも特徴で、一般的なお仕事のような定期的な募集がありません(年度に関係なく、中途半端な時期に代わっている場合もあります)。
募集自体、表に出ることも少ないと思います。
さて、少し前の話になりますが、実は筆者にも、ある出演オファーがありました。
ある競技の、あるレース場のレース実況の案件です。
公営競技の実況を離れて約5年。不安もありましたが、当時はもうすぐ40代に突入という時期を迎え、新たなチャレンジをしてみたいという思いもあったので、応募してみることに。
結果は、残念ながら採用ならず。
条件が合いませんでした。
条件には、さまざまなものがあります。読者の皆さんの多くが、ギャランティー一択だと思われていそうですが(笑)、今回はギャランティーではなく、日程の問題でした。
こちらが提案したのは、ひとつのレース場を複数人のアナウンサーで担当するシステム(私個人ではなく、ある事務所が提案した案)。
他に担当しているレギュラーなどもあり、1人で年間を通して担うのは難しい。
しかし、経験、実績はある面々。
「その競技の実況一筋」という従来のアナウンサーではなく、アナウンサーとして幅広い分野で活躍されるレベルの高い人材がその物事に携わり、その物事の価値を高めていく。
違うジャンルを経験した人が実況を担うことで、公営競技実況に新たな一面をお見せできることも期待できる。
あとは当然、何かあったときのバックアップ体制も考えなければならない。
複数人いることでバックアップ体制が整い、我々、クライアント、双方が安心できるということ。
しかし、クライアント(レース場)の条件は、1人でほぼ全ての日程を担当する、「専属アナウンサー」とのことでした(できれば、当地近隣に住んでいる人、もしくは住める人であれば文句なしだったとのこと)。
提案した複数人のアナウンサー体制。すでに他の分野でも活動、活躍をされている人が多く、これはかなり難しい条件でした。
さすがに当地住みは無理にしても、1人で担当できる人は探せばいるかもしれませんが、正直に言うと、その見つかった人は、恐らく即戦力ではないでしょう。
担当する前には当然、研修が必要です。指導体制は重要なポイントです。
今回のように新たな事務所が参入し、前任者とは違う事務所の場合、前任者が新任者へ細かく教える義務はないでしょう。
事務所が違うのですから、そこまで面倒をみる必要がないのは当然です。面倒を見て新任者に何かミスがあった場合、事務所が違うのに教えた側の責任を問われたくはない(前任者が円満退任だった場合は除く)。
これが、すでにさまざまな仕事を経験したアナウンサーであれば、多少の研修で、すぐに実戦というのが可能ですが、新人であれば、なおさら教える環境、見守る環境はかなり重要です。
その点、筆者の若手時代。ボートレース実況でデビューする前は、周囲の手厚いサポートがありました。
当時の多大なるサポートがあったからこそ、今もこうして喋りの仕事を続けてこられていると思っております。
さて、そのレース場がその後どうなったのかは確認していません。そしてどんなシステムを採ったのかも分からず。
上手く運営できていればいいなと思う一方、もし「運営システムがしっかりしていないと、こんなことになるよ?」という場面に遭遇すれば、「これはまずい」と対策を講じてくれるでしょう(世の中、どの業界、仕事でも、大体は何か起きてから対策を立てる場合がほとんどですが)。
「ん? また声がかかったらどうするかって?」
条件も重要ですが、やはり……
「自分がやりたいか、やりたくないか」
「自分が楽しめるか」
自分が楽しめないと、人を楽しませることができない。
これは実況に限らず、喋りの仕事をする上で大事にしていることです。
まあ、大事とは言いつつ、ギャラも大事ですが(笑)。
当然「大金をよこせ」ということはなく、常識の範囲、相場くらいであれば十分です。あまりに安いと、これから目指す人も夢が持てませんし、そもそも目指そうという気持ちにならず、若い人が入って来ず、業界が衰退しかねません。
あと、やりたいからといって安い金額で受けてしまうと、相場が崩れてしまい、今仕事をされている他の皆さんにも迷惑をかけてしまいます。
何も実績がなく、これからという人は、実績作りのために安い金額で受けるのも一概に悪いとは言いませんが。
まあ、そのあたりはサジ加減は難しいところであります。
ちなみに筆者が若い頃、西日本のある競技のあるレース場で実況をしないかという話があった時。
『当地に住みながら担当』という条件の案件がありましたが、さすがに断りました。知らない街に、誰1人、知り合いのいない状況。それはさすがに耐えられないだろうと思ったからです。
子どもの頃、親が転勤族で様々な場所を転々としていたので、知らない街に住むのは、もう懲り懲りという理由です。通うのであれば受けていたかもしれませんが…。
日常で寂しさを感じる状況では、仕事も上手くいかなかったでしょう(単身赴任だと羽根を伸ばせると、むしろ好転するアナウンサーもいる?)
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5月4日(日・祝)〜5月6日(月・休)【川口オート 普通開催】
5月23日(金)〜5月25日(日)【川口オート G2ナイター開催】
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(P-NAVI編集部)
森泉宏一
生まれは東京、育ちは広島、富山。学生時代に喋りの仕事を志し、2009年にボートレース実況でアナウンサーデビュー。2017年からはオートレース実況も始める。現在はYouTube配信番組などの出演も多く、「チャリロト劇場 燃えろ!!オートレース」出演時はMCも務める。パーフェクタナビでは「森泉宏一の実況天国」コラム連載中。プライベートでは2022年に年間100本の万車券的中を達成。試走タイムが出ない選手や逃げが得意の選手を好む傾向にある。公営競技を含めた日々の仕事の様子などを投稿している「森泉宏一のモーリーチャンネル」も絶賛更新中。