天井人(てんじょうびと)の村上義弘。我々が、あれこれ言える立場の選手ではない。禅寺の仏僧みたいな求道者。全身全霊で感動を与える走りは、改めて…。ここで村上を語るのも失礼な話になる。

　ただ、前検日はいつになく穏やかな表情。
前回の和歌山競輪での「オッズパーク杯(FI)の囲み取材では「関東４番手…」と言うジョークも出たと言う。これは、ちょっと信じられない出来事。

　一次予選の共同記者会見でも、ほんの少しの笑みを浮かべながらの会見だった。
「西武園は7年ぶりですか。だから、どこに何があるのか、ちょっと分からなかった(苦笑)。その1年前は準決勝まで無傷で勝ち上がり、萩原孝之君の優勝に貢献した。ここは、小森(貴大)を信頼して勝てるように」。

　その小森貴大だが緊張した面持ち。
「これで3度目の連係になるが、過去の2回は失敗している。今度こそ、村上さんに迷惑を掛けないように」。

　何気ない進境の変化か、こちらサイドの勝手な思い込みかもしれないが、村上の一挙手一投足は気になって仕方ない。(町田洋一)